豪州大陸へ殴り込み! トヨタGRスープラが2026年からレプコ・スーパーカー電撃参戦発表。カマロやマスタングと対決へ
シリーズ終盤戦恒例の耐久フォーマット戦『Sandown 500(サンダウン500)』を終えたばかりの現地9月18日(水)に、トヨタ・オーストラリアが2026年より豪州大陸最高峰のRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップに向け『A90型GRスープラ』を投入し、2026年より本格参戦を開始するとセンセーショナルな発表を行った。 【写真】トヨタGRスープラ・スーパーカーのミニスケールモデル この大々的かつ電撃的アナウンスにより、現地デザインチームが設計、開発を担当しTOYOTA GAZOO Racingオーストラリア(TGRA)がサポートするGen3規定の“新型スーパーカー”は、実に30年以上に渡りホールデンのファクトリーチーム(HRT)として君臨し、現在はフォード陣営の一翼を担うウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド(WAU)をホモロゲーションチームに選出。初年度から少なくとも4台を投入し、うち2台はWAUで不動のエースを務めるチャズ・モスタートと、僚友ライアン・ウッドがステアリングを握り、残る2台の実働チームも近日中にアナウンスされるという。 これによりフォードとシボレーとともにGen3時代に参戦する3番目のブランドとなったトヨタは、現段階で少なくとも5年間の参戦継続を確約。すでに現地にてワンメイクの草の根イベントであるスカラシップシリーズとGRカップ、そしてニール・ベイツ・モータースポーツと協業するTGRAラリーチームを支援し、国内のオーストラリア・ラリー選手権(ARC)で複数のタイトルを獲得してきた。 トヨタ・オーストラリアのセールス・マーケティング、フランチャイズ事業担当副社長を務めるショーン・ハンリーは、このニュースは同ブランドとスーパーカーの双方にとって「歴史的な瞬間」だと、その意義を強調する。 「トヨタでは20年以上にわたってスーパーカーに参戦するアイデアを温めてきたが、今こそ適切なクルマ、適切なチーム、そしてRSCとの非常に強力なパートナーシップにより、まさにその瞬間が到来したんだ」と続けたハンリー。 「これは真に歴史的な瞬間だ。当社のGRブランドと高性能モデルは、トップレベルのモータースポーツへの参加から得た知識に基づいて構築されており、スーパーカーへの参戦はそのつながりを強固なものとし、熱狂的かつ幅広いファンにTOYOTA GAZOO Racingの興奮を披露する機会を与えてくれる」 「また、9年前にワンメイクのトヨタ86シリーズを立ち上げたときに初めて確立した、ドライバーとチームの継続的なキャリアパスの機会も提供できる。新進気鋭のドライバーがレース技術を学び、それを磨くのに最適な環境であり、この成功により、現在ではオーストラリアのモータースポーツのトップ層へのキャリアパスとして広く認識されている」 「その証拠として今季のスーパーカー・グリッドを見れば、ブロック・フィーニー、ウィル・ブラウン、キャメロン・ヒルが全員トヨタ86でレースの経験を積み、さらに多くの86の卒業生がスーパー2でレースをしていることがわかるからね」 「そして、ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッドとスーパーカーという、強力かつ持続的に成長を続けるパートナーシップにより、我々はチャンピオンシップでの優勝を目指して参加するつもりだ」 ■GRスープラ・スーパーカーは5LV8“2UR-GSE”をベースエンジンに使用 ビクトリア州メルボルン近郊のアルトナを拠点とする自社設計チームを通じてGen3規定『トヨタGRスープラ・スーパーカー』の初期設計作業がすでに開始されており、設計チームはCADとVR技術を使用してスケールクレイモデルを製作し、発表会で展示している。 このトヨタGRスープラ・スーパーカーは自社ラインアップのうちオールアルミニウム製の5リッタークアッドカム(4バルブ)V8となる“2UR-GSE”をベースラインエンジンとして使用し、2019年のダカールラリーで優勝したハイラックスの知見はもとより、現在のスーパーGTでGT300規定車両に搭載されるレーシングユニットの開発ノウハウも盛り込まれる可能性がある。 現在のGen3規定で先行する第7世代『フォード・マスタング・スーパーカー』は5.4リッターデュアルオーバーヘッドカムV8の“コヨーテ”を搭載し、同じくGMシボレーの『カマロZL1スーパーカー』は自然吸気燃料噴射式5.7リッターの“LTR V8”を積むことから、全車が同大陸の魂でもあるV8で勝負を繰り広げることになる。 スーパーカーのCEOを務めるシェーン・ハワードも、この「画期的な」ニュースを歓迎し、選手権の「絶大な人気と国際的な魅力」の証であると応じた。 「2026年からトヨタをRSCに迎え入れることは、信じられないほどの栄誉だ」と続けたハワード。 「これはスーパーカーにとって画期的な瞬間であり、2026年から象徴的なグローバル自動車ブランドが、我々のグリッドに定着することになる。トヨタのスーパーカーへの取り組みを祝福するとともに、世界的なモータースポーツの伝統を引き継ぐこのような尊敬すべき企業の一員であることを誇りに思っている」 同じく、近年のシリーズで若い組織へと変貌したWAUのチームディレクター、ライアン・ウォーキンショーにとっても非常に重要な意味を持つ提携となる。 「2026年からスーパーカー・チャンピオンシップに参戦するトヨタ・オーストラリアとの将来を発表できることは、ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッドの全員にとって素晴らしい名誉であり特権だ」とウォーキンショー。 「トヨタのチームとスポーツへのコミットメントは歴史的な瞬間であり、過小評価されるべきではない。グループを通じてトヨタ・オーストラリアと素晴らしい関係を築いてきた(北米製『タンドラ』の右ハンドル化などを担当)が、そのパートナーシップをRSCにまで拡大できることをうれしく思う。2026年以降も一緒に成功を分かち合うのが待ち切れないね」 そのチームに資本参入し、ディレクター職などでボードメンバーに名を連ねるザク・ブラウンやマイケル・アンドレッティもウォーキンショーの意見に同調し、アンドレッティはホモロゲーションが運営組織にとっていかに重要かを改めて強調する。 「トヨタとの将来を発表できることを非常にうれしく思う。彼らのプランを実現するためのホモロゲーションチームとして働けることは非常に光栄で、それは我々のDNAと歴史の大きな部分を占めているんだ。そのため我々の前にあるこの次の章は、チームにとってだけでなくスポーツにとっても大きな意味を持つ。我々を信じてくれたトヨタ・オーストラリアには、深く感謝している」 同じくブラウンも「今日は全員にとって重要な日だ」と付け加えた。 「スーパーカーに3社目のOEMが参入することは、現在、そして将来にわたるこのスポーツの強さを示している。3社すべてのメーカーが戦うのを見るのはとても特別なことで、それまでにはフォードといくつかのレースで勝つ必要がある。我々もその関係を最高のかたちで終わらせることに全力を尽くしていく」 [オートスポーツweb 2024年09月18日]