サッカーU-23日本代表GK・小久保玲央ブライアン「次はA代表の守護神を目指します!」
「チームを勝たせるGKになりたい」 パリ五輪に挑んだ大岩剛監督率いるサッカーU-23日本代表の守護神、小久保玲央(れお)ブライアン(23)は大会前からそう言い続けてきた。 【画像】小久保玲央ブライアン 話題になったマリ戦でのPK "横っ飛び"写真…! 決勝トーナメント準々決勝、優勝候補のスペインに0-3で敗れると、小久保はピッチで人目もはばからずに号泣した。 だが――今年4月から5月のアジア最終予選前は「予選突破も厳しいのでは」という声が多かったチームの躍進の裏に、明るく人懐っこい性格でムードメーカーとしても欠かせない小久保の活躍があったのは間違いない。何よりファンを惹きつけ、世界を驚かせたのがグループリーグで見せた″神セーブ″の連発だ。 3戦すべてシャットアウト。見せ場は多かったが、最大のハイライトはグループリーグ第2戦、マリ戦の終了間際の相手PKのシーンだった。日本の1点リード。決められれば勝利を失うだけでなく、グループリーグの行方もわからなくなる緊迫した場面だった。 ただ、そんな緊張下で小久保は笑みを浮かべていた。次の瞬間、相手が放ったシュートは横っ飛びした小久保の手から逃げるように枠から外れた。 「なぜ笑っていたか? 別に相手を挑発してプレッシャーをかけようと思ったわけではないです。シュートコースが読めていたし、枠内に来ても止められる気がしたので、(止める前に)喜んじゃったというか……(笑)。枠内に来ても止められたと思います」 守備陣を鼓舞し、好セーブでニッポンゴールを死守する小久保はいつしか、畏敬の念を込めてファンにこう呼ばれるようになった。『国防ブライアン』――。 「ネットで見ました(笑)。そう言ってもらえるのは嬉しい」 ナイジェリア人の父と日本人の母を持ち、日本で生まれ育った小久保。193㎝の長身に加え、高い運動能力を生かしたしなやかな動き出しと驚異的な反射神経を武器に、大岩ジャパンの守護神としてパリ五輪で一躍脚光を浴びたが、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。 千葉県出身の小久保は地元の柏エフォートFCでサッカーを始め、中学1年で柏レイソルの下部組織に正式に加入。入団テストはFWで受けたが、求められたポジションはGKだった。 「寂しさはありました。ただ、レイソルからオファーが来たら断れないですよ」 その高いポテンシャルが評価され、Jリーグで一度もプレーすることなく18歳でポルトガルの名門ベンフィカに移籍。5シーズンを過ごしたが、トップチームでの公式戦出場はゼロ。 「チームで3~4番手という扱い。試合に出る正GKのウォーミングアップの手伝いをする立場で……そんななか、救いだったのがパリ五輪という目標でした。予選を兼ねたU―23アジア杯でのプレーが評価されて7月初めにベルギーのシント-トロイデンへの移籍が決まった。すっきりした気持ちで五輪に臨めたのは自分にとって大きかった」 世界に名を知らしめた五輪は終わった。 「目指すはA代表。W杯でプレーするのが最低限の目標です。そのためにも所属クラブでどんどんアピールしていければ」 近年、日本代表には絶対的な守護神が不在。今後の活躍次第では、小久保がA代表に抜擢され、W杯ベスト8入りのラストピースとなっても何の不思議もない。 『FRIDAY』2024年8月23・30日合併号より 取材・文:栗原正夫
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