「日の光」を浴びることが体に良いのはなぜ? それ以外にもある「体内リズム」を整えるのに重要なこと
血圧、心拍、体温、呼吸……脳と自律神経が調整する体内リズム
朝陽によって体内リズムが補正されるメカニズムについてみていきましょう。体内リズムを24時間に補正しているのは脳です。目から入った光の情報は、脳の視床下部の視交叉上核というところに達すると、補正が行われます。 視交叉上核でつくられた24時間のリズムは、神経やホルモンを介して全身に届けられ、さまざまな生理機能にも反映されます。その結果、第1章でみたように血圧や心拍、体温には、日中は高く、夜間は低くなるというリズムがあるわけです。 血圧や心拍を例に、少し詳しく説明しましょう。 視交叉上核からは脳内の広い範囲に神経が延びています。よく知られているのは、視交叉上核から視床下部の室傍核を経由し、交感神経の節前線維が出ている脊髄に至る経路。この経路を介して、交感神経系には日中に高く、夜間に低くなるというリズムができると考えられています。心臓や血管にいっている交感神経活動が日中高まると、血圧や心拍も日中高くなるわけです。なお、心筋梗塞など血管系の病気が午前中に集中しやすいのは、心臓の交感神経活動が明け方から午前中にかけて急激に上がることと関連があるといわれています。 夜間に交感神経活動が下がることは、体温の恒常性を維持するうえで重要です。皮膚の血管を支配している交感神経の活動が下がると、皮膚の血管は拡張し、熱が逃がされ、体温は下がり気味になります。日中の代謝亢進や身体活動で高まった体温は、夜、寝ている間に平常時に戻されるわけです。 夜間に交感神経の活動が下がることは、呼吸にも影響します。気管支筋に分布する交感神経には気道を広げる働きが、副交感神経には気道を狭める働きがあります。夜間に交感神経活動が下がり、副交感神経活動が高まると気道は狭まり、喘息の持病がある場合には息が吸いづらくなったりします。喘息の発作が夜間から明け方にかけて起こりやすいのは、次の項でお話しする副腎皮質ホルモンとの関連性も指摘されています。