「日の光」を浴びることが体に良いのはなぜ? それ以外にもある「体内リズム」を整えるのに重要なこと
「心身の不調は自律神経が原因かもしれない」「自律神経のバランスが乱れている」などとよく耳にします。そもそも、自律神経とはどのような神経なのでしょうか? 簡単に言えば「内臓の働きを調整している神経」。全身の臓器とつながり、身体の内部環境を守っています。自律神経に関わる歴史的な研究を辿りながら、交感神経・副交感神経の仕組みや新たに発見された「第三の自律神経」の働きまで、丁寧に解説していきます。 【写真】ついにわかった「ジムに行かなくても体力がつく」すごい方法 *本記事は『自律神経の科学 「身体が整う」とはどういうことか』を抜粋・再編集したものです。
朝陽を浴びると体内時計は補正される
今から60年ほど前、光の届かない洞窟で寝泊まりして、決まった時間に起きられるかどうかを調べた人がいます。ドイツのユルゲン・アショフ (1913-1998年) という人です。もちろんテレビやスマホ、時計など、時間を知る手がかりはありません。数週間泊まり込んでわかったのは、時間と光の情報がなければ、起きたり寝たりする時間が毎日少しずつ遅くなっていくということでした。こうして人間のもっている体内時計が24時間よりわずかに長いことが明らかにされたのです。 本来の体内時計が24時間より少し長いとはいえ、私たちは24時間という地球のリズムに合わせて生活しています。それは動物たちも同じです。おそらく24時間というリズムを刻んだほうが、地球上で生きていくうえで都合がいいのでしょう。自身のリズムを地球のリズムに合わせる際にもっとも重要となるのが、太陽の光です。朝陽を浴びることによって、私たち生き物の体内時計は24時間に補正される仕組みになっているのです。 動物たちと違って、人間は朝陽よりも時計の時刻にあわせて起きているかもしれません。しかし時計の時刻は、必ずしも日の出と一致しません。夏の朝6時といえばすでに日は高く昇っていますし、冬の朝6時はまだ真っ暗。夏は早めに目覚め、冬は目覚めが遅くなるのは、光にあわせるシステムが私たちの体に備わっているためでしょう。動物たちのように光にあわせて寝起きすると、体調の回復がはかれるかもしれません。