日本ケーブルテレビ大賞番組アワード、グランプリは 大垣ケーブルテレビ『守れ!美濃柴犬~高校生研究班の奮闘記~』
一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟は、全国のケーブルテレビ事業者が独自に制作する優れた番組を顕彰し、地域住民のための映像情報文化のさらなる発展を目指して毎年開催している「日本ケーブルテレビ大賞 番組アワード」の本年受賞作品を発表し、贈賞式が盛大に催された。 【画像】最優秀新人賞を受賞したイッツ・コミュニケーションズ(株)。プレゼンターは審査委員長 音好宏氏 節目となる第50回を迎えた今年の番組アワードには、映像作品として優れた番組を評価する「コンペティション部門」に78作品、地域密着のケーブルテレビならではの番組づくりを評価する「コミュニティ部門」に80作品、応募者の裾野拡大や制作者の育成を目的とした「新人賞部門」に32作品、合計190作品の応募があり、その中から最終ノミネートに残った20作品より、グランプリ総務大臣賞をはじめとする各賞が発表された。 グランプリ総務大臣賞に輝いたのは、(株)大垣ケーブルテレビ(岐阜県)が制作した『守れ!美濃柴犬~高校生研究班の奮闘記~』。岐阜県に古くから存在する赤みを帯びた毛並みが特徴の地犬「美濃柴犬」を守ろうと活動する、大垣養老高校「美濃柴犬研究班」の活動を2年にわたって取材を行い、「地域の希少種を守るのが私たちの使命」と奮闘する高校生の姿を描いた。 同社高橋杏輔氏は「本当に高校生の人たちと一緒につくりあげたような番組。苦労や悩みなど葛藤を描かせてもらった。このような地域の情報をみつけることができたが、目が届いていないだけで、いろいろ情報があるのだと思う。大事なのはアンテナをはり続けること」と受賞の感想を述べた。 準グランプリは、射水ケーブルネットワーク(株)(富山県)が制作した特別番組『令和6年能登半島地震 検証!その時、あなたは・・・』。2024年元日に発生した「能登半島地震」は、家屋の倒壊や道路の液状化など大きな被害をもたらした。同時に、避難所の運営など浮き彫りになった多くの課題に対し、人流データを基に「いつ、どこから、どの場所に人が移動したのか」を分析し、専門家の意見も交えながら検証を行った。 最優秀新人賞は、イッツ・コミュニケーションズ(株)(東京都)が制作した『ハチゴープロジェクト ~引退車両のセカンドライフ~』。東急電鉄が引退した車両8500系(通称「ハチゴー」)を販売するというニュースを目にした東京・調布市にある精神科病院に勤務する2人が、「敬遠されがちな精神科医療のイメージを変えたい」という想いから、“電車がある病院” という夢を膨らませ、車両購入計画「ハチゴープロジェクト」がスタートする。 今回の応募作品について審査委員長をつとめる音 好宏氏は、「1本1本が際立っていて、どれも視点がはっきりとしている。若者が地域社会をどう考えているのかを描いたグランプリ受賞作品のように、これまでの蓄積をもとに未来を見つめた作品が多かったこともうれしく思う。作り手ひとりひとりの問題意識が明確であり、加えて、ドローンや4Kなど新しいテクノロジーに対しても非常に挑戦的だ。これからもさらに地域を深掘りしてよい番組をつくっていただきたい」と総評を述べた。 50回の記念大会となった今回、歴代最多で20回目の受賞となった(株)ぴ~ぷる(佐賀県)には、50回記念特別賞が贈られた。なお、受賞作品のうち許諾のとれたものについては、ケーブルテレビ事業者によるコンテンツ流通システム「AJC-CMS」により全国のケーブルテレビに届けられ、各局のコミュニティチャンネルで広く視聴できるように配信を行う。
PHILE WEB ビジネス編集部・竹内純