四半世紀ぶり最高値更新のソニーG株、ゲーム期待で25年も先高観強い
ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズで日本株運用責任者を務める井上純一氏は、ソニーGの最近の成功はゲーム機からソフトウエアや知的財産(IP)へ多角化を図ったためだと分析。PSハード販売の依存度を減らすことで半導体部門の変動を乗り切り、来年の不透明な経済見通しに備えることができており、ソニーG株は理想的な買い対象と井上氏は評価する。
ブルームバーグのデータによると、井上氏が運用する「ジャパン・オポチュニティーズ・ファンド」はソニーG株を約12億7000万円保有し、10月末時点ではトヨタ自動車、日立製作所に次ぐ保有銘柄ランキングで3位だ。
ソニーGの向こう12カ月の予想株価収益率(PER)は20倍と、競合する任天堂の36倍や米マイクロソフトの35倍と比べ相対的に割安な水準にある。マッコーリー・キャピタル証券で日本株リサーチ部門の責任者を務めるダミアン・トン氏は、同水準の市場価値を持つ他の日本企業と比べても割安で、来年はさらに上昇する余地があることを示唆していると言う。
ソニーG株はTOPIX構成銘柄の時価総額でトヨタ自動車、三菱UFJフィナンシャル・グループに次ぐ3位。PERはトヨタやMUFGよりも高いが、4位のリクルートホールディングスや5位の日立製作所は下回っている。
マッコーリーでは今月に入り、ソニーG株の投資判断「アウトパフォーム」を継続し、目標株価を従来よりも17%高い3950円に引き上げた。自社開発のゲームソフトの業績貢献を見込んだためで、来年は世界的ゲームソフトのリリースで知名度が上がり、特に海外投資家からの保有人気が高まるとトン氏は予想する。
ジャナスの井上氏は、世界でヒットしたゲーム「エルデンリング」などのIPを保有するカドカワの買収に向け協議をしていることが明らかになった点もソニーGの魅力を高めているとの見方を示した。
もっとも、来年の株価に明るい見通しが広がるソニーGにとっても懸念材料はある。スミザーズ氏は為替市場で円高が進めば、PS5の販売に逆風が吹く可能性があると指摘。また、トランプ次期米大統領が中国に対する貿易規制を一層強めれば、中国市場の動向が同社にとってマイナス要因になり得ると警戒する。