座席も広々!サービスと価格を両立させた異色のエアライン「エアージャパン」の全貌
峯口さんに託されたエアージャパンの客室乗務員たちも津南町に足を運び、訪日客に興味を持ってもらうため、自分たちでオリジナル動画を作ろうとしていた。
8月、タイ・バンコク。エアージャパン最初の路線にバンコクを選んだ峯口さんは、日本大使公邸を訪れる。盛大なイベントが行われる会場で、峯口さんは登壇するやいなや、機内でも販売する雪下ニンジンで作られたジュースやミネラルウォーター、雪下ニンジンを掘る大会など、真っ先に津南町を紹介。地方のアピールに多くの時間を割くのが、新たなエアライン・エアージャパンのやり方だ。
11月、埼玉県・川越市。この日、峯口さんを待っていたのは地元の観光事業者の人たち。峯口さんは「川越は、タイの方にもっと来ていただきたいとのことで、ニーズがマッチしている」といきさつを話す。コロナ禍を経た今、川越には多くの訪日客が押し寄せているが、夕方が近づくと、あれほどいた人たちが消えてしまう…。みんな日帰りしてしまうのだ。 峯口さん、これを利用できないかと考えていた。 今年2月9日、成田国際空港。エアージャパン初フライトの日。初便の搭乗率は約96%で、好調なスタートを切ることができた。
事前に予約する機内食は13種類から選ぶことができ、親子丼や寿司など、日本らしいものばかり。料金は、成田・バンコク片道1万7000円からで、ハイシーズンでも5万円ほどだ。
シートは革張りで、席はすべてエコノミークラス。ビジネスクラスがない分、座席間隔に余裕があり、一般的な格安航空会社よりも広くなっている。サービスと価格を両立させた、これまでにないエアラインだ。初フライトを見届けた峯口さんは、先を見据えたある作戦を実行する。
3月23日、東京・新宿でバスツアーが企画された。参加者は日本在住のタイ人で、約20人が参加。一行が向かったのは川越で、舟に乗って花を愛でる優雅な遊びを堪能。続いて小江戸・川越の散策を楽しむ。江戸時代からの名物・サツマイモを味わい、創業100年の飴屋さんでは、昔ながらの作り方にみんな興味津々。この飴は、エアージャパンの機内でも販売されている。この日、川越はちょうど桜の咲き始めで、絶好の撮影スポットにみんな満足気だ。 春を堪能した一行は、バスに乗り関越道で北へ。トンネルを抜けると、そこには美しい雪景色が! 日本に住んでいるとはいえ、やはりタイの人にとって雪は珍しいようだ。