ECB、今後の利下げ急ぐべきでも遅らせるべきでもない-仏中銀総裁
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのビルロワドガロー・フランス中銀総裁は、先週の利下げ開始が「明白な方向性」を示した後、将来の利下げは急ぐべきでも遅らせるべきでもないとの考えを示した。
先週の利下げ後の次のステップについては不透明感が大きいが、ビルロワドガロー氏の論調は追加利下げに対して慎重姿勢を呼び掛けた他の当局者と若干異なる。
「次の利下げに関して私は、急ぐことも遅らせることもない『現実的な漸進主義』を主張する」と、ビルロワドガロー氏は11日のパリ金融フォーラムでのスピーチで述べた。
ECBは利下げに踏み切ったものの、インフレ見通しは上方修正。予想を上回る賃金上昇と消費者物価上昇という背景と利下げをどう整合させるかが課題だ。
ラガルド総裁は、利下げは妥当だとする一方、10日に公表されたインタビューでは利下げ決定は金利が直線的に低下することを意味するものではないとくぎを刺した。シムカス・リトアニア中銀総裁も11日、インフレに対して「勝利の旗を掲げるには時期尚早」だと述べた。
ECB、インフレに対する勝利宣言は時期尚早-シムカス氏
フィンランド中銀のレーン総裁はインフレ抑制に進展があったとした上で、金利の道筋をあらかじめ約束することはないと述べた。
ECB、いかなる金利の道筋も事前約束しない-フィンランド中銀総裁
ビルロワドガロー氏は、今後の政策委員会でECBはインフレ率の月ごとの変動にとらわれないようにすると述べ、変動は部分的には前年同月のエネルギー価格との比較によるものだと説明した。
「この『ノイズ』はあまり意味がない。従って、当局は引き続き『見通し重視』であり、インフレ見通しを注意深く見守っていく」と述べた。
米連邦準備制度理事会(FRB)との利下げ開始時期の乖離(かいり)による影響を過度に懸念すべきではないとの考えも示した。潜在的なドル高がユーロ圏のインフレ率に与える影響は小さく、一方米国では長期金利上昇が引き締め効果をもたらすだろうと指摘。