「左利き」でも「右利き」でも切りやすいハサミが誕生。開発したのは、左利きのコクヨ社員だった
日本での「左利き」の人口は約10人に1人とも言われています。 しかし文具メーカーのコクヨによると、その94%である約1128万人もの人が、右利き用のハサミを工夫しながら使用していると推測されています。 【写真】「左利き」でも「右利き」でも切りやすいハサミって…?利き手を問わないコクヨのハサミがこれだ 右利きでも左利きでも切りやすいハサミが開発できないだろうか……? そう考え、利き手を問わず使いやすいハサミを開発したのは、コクヨの左利きの社員でした。
「使いにくさ」を感じていたことがきっかけに
コクヨの人気ハサミシリーズ「ハサミ<サクサ>」は、厚いものから薄いものまで軽い力で切れる「ハイブリッドアーチ刃」が特長の商品。切れ味の良さからファンも多いシリーズです。 今回、利き手を問わない切りやすさを実現する「傾斜インサート」を搭載してサクサをリニューアル。12月11日から発売しています。 左利きの開発者は、「これまで使いやすいハサミに出会うことができなかった」との経験から、「そのような体験のある方に少しでも使いやすいハサミを提供したい」と試行錯誤を重ね、開発に当たりました。
どんな技術で利き手を問わないハサミに?
コクヨによると、新しく搭載された「傾斜インサート」とは、ハンドルに対して刃を傾けて成形する手法のことを指します。 基本構造は右利き用ハサミと同じですが、この傾斜インサートがあることで、右利きでも左利きでも使いやすくなっています。 コクヨは、次のように説明しています。 《一般的にハサミで対象物を切る際は、刃と刃の隙間が少ない方が、切れ味が良くなります。そのため、使用者は、知らず知らずのうちに、刃と刃の隙間が少なくなるように、自身で左右の刃を近づけるための調整をする傾向があります。 今回、『傾斜インサート』を搭載することにより、ハンドルを開閉するだけで刃と刃の隙間が自然と小さくなることを実現しました》 傾斜インサートの導入で、切断する際の刃と刃の隙間が抑えられるので、対象物の噛み込みを軽減し、滑らかな切れ味が維持できるとのこと。 その結果、厚手のものから、ビニールや湿布のような薄手のものまで、快適に切ることができるそうです。 これまで、スタンダードな「右利き用ハサミ」の他に、「左利き用ハサミ」が存在していましたが、リニューアルしたサクサが1つあることで、職場や家庭などで、皆にとって切りやすいハサミを共有して使うことができます。