じつは「生存をかけた死闘」シーンは、それほど多くなかったかもしれない…なんと、「歯の化石」でわかった「すみかも、食べ物も近い」恐竜が見せた「意外な関係」
歯の形状に見られる違い
歯の形状に着目すると、テスケロサウルスの歯は対称的で、歯の周りには小さな突起(デンティクル)があり、根元から頂点まで続いており、歯の表面に細かな模様を作っている。それに対し、ステゴケラスの歯は非対称で、前方の歯と後方の歯で突起の数が異なり、前方の歯には突起が多く、後方の歯には少ない。 また、ステゴケラスの歯の中央には目立つ縦の隆起があり、歯全体の形を強調している。この隆起はステゴケラスが植物を噛み砕く際に役立っていたと考えられる。 歯に残された摩耗の痕跡にも違いがある。テスケロサウルスの歯は、前方の歯が両側で摩耗しており、これはテスケロサウルスが植物を選んで食べる際に特定の方向に歯を使っていたことを示している。 また、後方の歯は内側全体が摩耗しており、これは植物を細かく噛み砕くのに役立っていたと考えられる。ステゴケラスの歯は主に前方が摩耗しており、顎の力で植物を噛み砕いていたため、前方の歯が特に摩耗していたと考えられる。摩耗が進むと後方の歯にも小さな摩耗が見られる。
採餌戦略のちがいか
食べ方の違いとして、テスケロサウルスは特定の質の高い植物を選んで食べる「選択的な摂食」を行っていた。テスケロサウルスの歯は特定の植物を効率的に食べるのに適しており、狭い鼻先も植物の中から特定の部分を選んで食べるのに役立っていたと考えられる。 いっぽう、ステゴケラスは特定の植物を選ばず無差別に大量の植物を食べる「無選択的な大量摂食」を行っていたとされる。ステゴケラスの歯は均一な形状をしており、大量の植物を一度に噛み砕くのに適しており、広い鼻先もまた、植物を無差別に取り込むことに役立っていたと考えられる。 鼻先の形からも、それぞれの採餌行動の違いがわかる。テスケロサウルスは狭い鼻先を持ち、これによって特定の植物を選んで食べることができた。狭い鼻先は食べ物を細かく選別するのに役立ち、質の高い植物を効率的に摂取することが可能であったと考えられる。 いっぽう、ステゴケラスは比較的広い鼻先を持ち、どのような植物でも無差別に摂取できた。広い鼻先は広範囲の植物を一度に摂取するのに適しており、ステゴケラスが大量の植物を食べることを可能にしていたのであろう。
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