じつは「生存をかけた死闘」シーンは、それほど多くなかったかもしれない…なんと、「歯の化石」でわかった「すみかも、食べ物も近い」恐竜が見せた「意外な関係」
競争せずに共存できた2種の恐竜
このように、テスケロサウルスとステゴケラスはそれぞれ異なる採餌戦略を持っていたため、同じ場所に棲んでいても競争せずに共存できたと考えられている。 テスケロサウルスは選択的に食べ物を選び、ステゴケラスは無差別に大量に食べるという戦略をとることで、互いに食べ物の取り合いを避けていた可能性がある。さらに、もしテスケロサウルスが穴で生活していたとすれば、ステゴケラスとの争いはなおさら少なかったであろう。 そうなると、アラスカ州に棲息していたテスケロサウルス科と、パキケファロサウルス類のアラスカケファレも、極圏という厳しい環境でありながら、異なる採餌行動をとり、餌を分け合うことで争いを避け、平和に共存していた可能性が考えられるのだ。 *好評の前回はこちらから*
小林 快次(北海道大学総合博物館教授)
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