「紀州のドン・ファン殺人事件」裁判の判決が目前、「覚醒剤は頼まれたから買いにいっただけ」元妻の主張は通るのか
もう一つは、11月8日から3回にわたって開かれた早貴被告に対する被告人質問で『勃たなかったので社長から覚醒剤を買って欲しい』と頼まれて自ら覚醒剤を購入したことを明らかにしたことです。これについて検察側から、事件直後の警察の事情聴取ではそのことを一切喋っていなかったのはなぜかと追及されると、まともな証言が出来なかった。 警察の事情聴取を受けていたときには、まだ捜査当局は覚醒剤の売人にたどり着いていなかったはずなので、早貴被告も自分が覚醒剤を購入したことまではバレないだろうと踏んで、売人との接触については伏せていたのではないでしょうか。ところが裁判に売人が2人も証人として現れ、覚醒剤の購入を隠すことが難しくなってしまったのでしょう」 ■ 野崎氏は「勃たなかった」とする早貴被告、「私は勃たせられた」とした愛人 また、〈セックスの時に勃たなかった野崎氏が「覚醒剤を買って欲しい」と頼むので、野崎氏からおカネを貰って覚醒剤を購入した〉という早貴被告の主張の信ぴょう性を大きく揺るがす証人も現れた。大阪に住む野崎氏の愛人「菜々ちゃん」だ。彼女の「私は社長を勃たせることができた」といった赤裸々な証言は早貴被告にとって衝撃だったに違いない。 早貴被告は、この「紀州のドン・ファン殺人事件」裁判の前に行われた、別の詐欺罪の裁判でも被告となっていた。札幌時代にパパ活で男性から3000万円もの大金を騙して振り込ませたことが罪に問われた裁判だったが、法廷で早貴被告は「騙していたことを知っていて振り込んだんでしょ」という“理屈”で詐欺を否定した。しかも、「セックスが絡むと男はバカになる」「私が詐欺師なら向こうは性犯罪者」などと被害者を愚弄するような発言を投げつけたりもした。 被害者を騙すために自分が送っていた数々のメールが証拠としてあがっているのに、「騙されていたことが分かっていたでしょ」の論理は通らない。弁護士もそれを止めようともせず、堂々と主張させたのだから驚きだった。罪を認め被害者に謝罪する態度を示したほうが裁判戦略上は賢明のように思えたが、最後まで強気のスタンスは崩さなかった。結局、判決では懲役3年6カ月の刑が確定した。 もちろん「ドン・ファン殺人事件」は全く別の裁判だが、「最初から遺産目当ての結婚だった」と公言してはばからない早貴被告の態度は、前裁判から一貫しているとも言える。「社長(野崎氏)から頼まれたから覚醒剤を購入した」「毎月100万円もらうという約束で結婚した」「結婚してもセックスはしないという約束だった」などと、殺人に関して無罪を主張していること以外は、露悪的と言ってもいいほど過去の行動や心情をアッケラカンと明かしている。