総務省の指導で、携帯電話料金は本当に安くなったのか
追随しあう3社 価格競争は適切なのか
このように一連の動きを検証してみると、毎月ある程度のデータ通信量を必要とするユーザー、スマートフォンを分割払いで購入したほぼ全てのユーザーにとって、最近各社が打ち出した施策はあまりメリットがあるとは言えないのではないでしょうか。NTTドコモはこうした動きに加えて、利用年数に応じてパケット定額料金を割引するプランを打ち出しましたが、個人利用のユーザーでは10年以上、家族契約の場合には代表回線に5年以上の契約が求められ、その恩恵を受けられる人は限られる状況です。こうした割引プランは、今後ユーザーの利用シーンに応じて様々なものが登場することが期待されます。 加えて、長らく各社が横並びで差別化がなされていない料金体系にも変化を期待したいところです。これまで、各社はどこかが値引くと追随し、どこかが新料金を打ち出すと追随するという形で横並びの料金体系が続いています。これでは、ユーザーにとって各社の料金体系のどこにメリットを見出せばいいのかが見えてきません。勢いを増すMVNO勢への契約者流出を避けるためにも、料金体系の差別化とユーザーメリットの強化は大きな課題だと言えます。かつてソフトバンクがフィーチャーフォン時代に「ホワイトプラン」を打ち出して業界に新風を巻き起こしたように、他社が簡単に追随することができないような大きなインパクトが市場に起きなければ、今後ユーザーの端末買い替え、キャリア乗り換えに対する関心やニーズは縮小するばかりではないでしょうか。 (執筆:井口裕右/オフィス ライトフォーワン)