総務省の指導で、携帯電話料金は本当に安くなったのか
データ通信の少額プランは現実的な選択肢になるか
もうひとつのポイントは、ライトユーザー向けの少額プランの登場です。総務省の指導を受けて、各社は月額費用の合計が5千円前後になるライトプランを打ち出しました。 しかしながら、設定されたのはデータ通信量を大幅に絞ったデータ定額料金の設定に留まり、通話定額とセットになった基本料金は変更なし。LINEをはじめとするSNSやスマートフォンゲーム、ネット動画の視聴を主に利用するデータ通信利用中心のユーザーにとっては、メリットが薄い内容となりました。加えて、この場合も2年縛りを設定しない場合には2年で3万6000円の負担増となり、2年縛りで5GBのデータ定額プランを利用した場合とほぼ同等の料金となります。自宅でWi-Fiに接続して使用する場合がほとんどというユーザー以外の人にとっては、あまり現実的な選択肢だとは言えないのではないでしょうか。
“実質0円”の廃止は、今後の料金プランを変えるか
最後のトピックスは、端末料金の“実質0円”の廃止です。これまで各社は、端末価格の分割払い(24回)の費用に対して、割引料金を毎月適用して費用の一部または全部を相殺する形で端末価格の値引きを行ってきました。例えば、各社にとって最大の売れ筋であるiPhoneの一部モデルでは、端末価格の分割払い費用と同額を毎月値引くことで“実質0円”を実現していたのです。 しかし、総務省はこの値引きに必要な費用が高額な携帯電話料金に転嫁されているとして、この“実質0円”を行わないよう指導を行いました。つまり、“実質0円”を行わないことで、毎月の携帯電話料金をもっと安くしなさいというものです。ただ、“実質0円”はなくなったものの端末価格の値引きは引き続き行われており、値引き額が縮小した分だけ利用者の負担は増加。そして、通話定額プランやパケット定額プランのほとんどは価格据え置きの状況が続いています。 端末価格の値引きが縮小した分が携帯電話料金にどのように反映されていくのかは、時間を掛けて注視していく必要がありますが、この施策が本当に月額料金の負担軽減に繋がるのかは未知数だと言えるのではないでしょうか。