今週末に見たい展覧会ベスト9。池上秀畝、KYNE、会田誠まで
伝説の日本画家の生涯を追う。「生誕150年 池上秀畝―高精細画人―」(練馬区立美術館) 明治末から昭和戦前にかけて活躍した日本画家、池上秀畝(1874~1944)。官展(文展、帝展)をおもな発表の場とし、数々の栄えある賞を受けてきた画人だ。その代表作を展示する展覧会「生誕150年 池上秀畝―高精細画人―」が、練馬区立美術館で4月21日まで開催されている。会場レポートは こちら。 官展(文展、帝展)をおもな発表の場とし、数々の栄えある賞を受けてきたその代表作をあますことなく展示する本展。9歳で手がけた《がま仙人》に始まり、最晩年の作品までが並ぶ展覧会となっており、帝展の壮大な作品はもちろんのこと、その技量を裏づける写生帖までもが並ぶ。 会期:2024年3月16日~4月21日 会場:練馬区立美術館 住所:東京都練馬区貫井1-36-16 電話番号:03-3577-1821 開館時間:10:00~18:00 ※入館は閉館の30分前まで 休館日:月 料金:一般 1000円 / 大学・高校生 800円 世界のギャラリー連携プロジェクト。温泉大作戦 The Final(都内12ギャラリー) 都内の12ギャラリーで開催されている「温泉大作戦 The Final」は4月21日まで。企画の詳細はこちら。 温泉大作戦は、各都市のギャラリーとの展示プロジェクトと、温泉旅行でのコンファレンスに参加するハイブリッドなイベント。志を同じくするギャラリスト同士のコラボレーションと協力のスピリットが集結し、東京の現代アート界の独自の文脈を友好的に紹介することを目指すものだ。これまでに世界中で開催されたイベント、ミルウォーキーインターナショナル、パラマウントランチ、コンド、オキドキ、フレンド・オブ・ア・フレンド、ヴィラ・プロジェクト(ヴィラ・ワルシャワ、ヴィラ・レイキャヴィック、ヴィラ・トロント)や非営利イニシアティブであるNADA(New Art Dealers Alliance)、パリス・インターナショナーレ、そしてギャラリーで組織された一般社団法人日本現代美術商協会やIGA(International Galleries Alliance)にインスパイアされたもの。 今回の参加ギャラリーは、Satoko Oe Contemporary、HAGIWARA PROJECTS、無人島プロダクション、小山登美夫ギャラリー天王洲、ANOMALY、Take Ninagawa、青山目黒、TALION Gallery、Yutaka Kikutake Gallery、MISAKO & ROSEN、Fig.、KAYOKOYUKI、XYZ collective、4649 presenting in CAPSULE。 国内初の大規模個展。「ADAPTATION - KYNE」(福岡市美術館) 福岡市美術館で「ADAPTATION - KYNE」が開催される。 会期は4月20日~6月30日。 KYNE(キネ)は、大学時代に日本画を学び、2006年頃から活動を開始。現在、福岡を拠点に活動しているアーティスト。1980年代の漫画やレコードのジャケットからインスピレーションを受け、クールな表情の女性を描いた絵画作品やアパレルブランドとのコラボレーション、CDジャケットのイラスト、広告などを手がけ、国内外で大きな注目を集めている。 本展は、KYNEの国内初となる大規模個展。過去作から最新作まであわせて展示し、KYNEの魅力を探る展覧会となる。 会期:2024年4月20日~6月30日 会場:福岡市美術館 2階 特別展示室 住所:福岡県福岡市中央区大濠公園1-6 電話:092-714-6051 開館時間:9:30~17:30 ※入館は閉館の30分前まで 休館日:月(4月29日、5月6日は開館)、4月30日、5月7日 料金:一般 1700円 / 大学・高校生 1000円 / 中学生以下 無料 言語に目を凝らす。「翻訳できない わたしの言葉」(東京都現代美術館) 東京都現代美術館で「翻訳できない わたしの言葉」が開催される。 世界には様々な言語があり、ひとつの言語のなかにも、方言や世代・経験による語彙・文法の違いなど、無数の豊かなバリエーションがある。話す相手や場に応じて、仲間同士や家族だけで通じる言葉を使ったり、他言語を使ったりと、複数の言葉を使い分ける人もいる。言葉にしなくても伝わる思いもある。それらはすべて、個人のなかにこれまで蓄積されてきた経験の総体から生まれる「わたしの言葉」である。他言語を学ぶことでその言語を生み出した人々の文化や歴史に触れるように、誰かのことを知ることは、その人の「わたしの言葉」を、別の言葉に置き換えることなくそのまま受け取ろうとすることから始まるのかもしれない。 本展では、ユニ・ホン・シャープ、マユンキキ、南雲麻衣、新井英夫、金仁淑の5人のアーティストの作品を紹介。彼らの作品は、みんなが同じ言語を話しているようにみえる社会に、異なる言語があることや、同じ言語のなかにある違いに、解像度を上げ目を凝らそうとするものである。 会期:2024年4月18日~7月7日 会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F 住所:東京都江東区三好 4-1-1 電話:050-5541-8600 開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで 休館日:月(ただし4月29日、5月6日は開館)、4月30日、5月7日 観覧料:一般 1400円 / 大学生・専門学校生、65歳以上 1000円 / 中学・高校生 600円 / 小学生以下 無料 歴史に残る銘品が一堂に「茶の湯の美学 ―利休・織部・遠州の茶道具―」(三井記念美術館) 三井記念美術館で「茶の湯の美学 ―利休・織部・遠州の茶道具―」が開催されている。会場レポートはこちら。 本展は桃山時代から江戸時代初期、茶の湯界をリードした千利休、古田織部、小堀遠州の美意識を、三井家伝来の茶道具のなかから探る。千利休の「わび・さびの美」、古田織部の「破格の美」、小堀遠州の「綺麗さび」、3人の美意識を以上のようにとらえ、書画、茶碗、茶入、花入、水指、釡、茶杓など、各人の美意識から生まれた茶道具の名品・優品を多数展示。 茶道具という「物」そのものを見ることで、そこから利休、織部、遠州の美意識を感じ取り、茶の湯の美学という観点から3人の「真実の姿」に思いを馳せてもらうことを趣旨としている。 会期:2024年4月18日~6月16日 会場:三井記念美術館 住所:東京都中央区日本橋室町 2-1-1 三井本館 7階 電話:050-5541-8600 開館時間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで 休館日:月(ただし4月29日、5月6日は開館)、5月7日 観覧料:一般 1200円 / 70歳以上 1000円 / 大学・高校生 700円 / 中学生以下 無料 創作の冒険は続く。「つくる冒険 日本のアール・ブリュット45人」(滋賀県立美術館) 滋賀県立美術館で、開館40周年記念「つくる冒険 日本のアール・ブリュット45人―たとえば、『も』を何百回と書く。」が開催される。 日本語では「生(なま)の芸術」と訳されてきたアール・ブリュット。1940年代、フランスの画家、ジャン・デュビュッフェが、精神障害者や独学のつくり手などの作品に心を打たれ、提唱した美術の概念である。本展では、2023年に日本財団より受贈した、45人の日本のアール・ブリュットのつくり手による作品約450点を展示。 例えば、「も」を何百回と書いたり、他人には読めない文字で毎日同じ内容の日記を記したり、寝る間を惜しんで記号を描き続けたり―冴えたひらめきや、ひたむきなこだわりを形にするため、出どころの謎めいた発想と熱量をもって挑む、そのような冒険的な創作との出会いが広がる。 会期:2024年4月20日~6月23日 会場:滋賀県立美術館 展示室3 住所:滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1 電話:077-543-2111 開館時間:9:30~17:00 ※入館は閉館の30分前まで 休館日:月(祝日の場合は翌平日) 観覧料:一般 950円 / 大学・高校生 600円 / 中学・小学生 400円 新作絵画展。会田誠「《混浴図》への道」(Gallery & Restaurant 舞台裏) Gallery & Restaurant 舞台裏で、会田誠の新作絵画展「《混浴図》への道」が開催される。 会田誠は1965年新潟県生まれ、91年に東京藝術大学大学院美術研究科修了。美少女、戦争画、サラリーマンなど、社会や歴史、現代と近代以前、西洋と東洋の境界を自由に往来し、常識にとらわれない対比や痛烈な批評性を提示する作風で知られており、絵画、写真、映像、立体、パフォーマンス、など表現領域は国内外、多岐にわたる。 本展で披露される新作には、会田が長きにわたって追求してきたシミュレーショニズムの手つきが散りばめられるという。 会期:2024年4月20日~5月19日 会場:Gallery & Restaurant 舞台裏 住所:東京都東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA B1F 開館時間:11:00~20:00 休館日:月 観覧料:無料 京都の若手が集結。東 京都 展「The Echoes of East Kyoto」(WHAT CAFE) WHAT CAFEで「東 京都 展 The Echoes of East Kyoto」が開催される。 WHAT CAFEでは、「鬼大名(鬼頭健吾、大庭大介、名和晃平 )」の呼びかけに応え集まった、京都の若手作家を中心とした総勢50名の作家による作品約100点を展示。平面や立体を問わない多様な作品が一堂に介し、現役の作家として活動する教員たちも出展するなど、京都のアートシーンのいまを余すところなく体感することができる。 本展は、世代や立場を越えた作家たちのリアルなつながりから生み出される展示であり、京都に充満するアートのエネルギーの共鳴を、東京の地においてかつてない規模で展開する稀有な機会となる。 会期:2024年4月20日~5月7日 会場:WHAT CAFE 住所:東京都品川区東品川2-1-11 開館時間:11:00~18:00(最終日~17:00) 観覧料:無料 ついに東京に巡回。「走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代」(菊池寛実記念 智美術館) 戦後日本の陶芸界において中心的な役割を果たした前衛陶芸家集団・走泥社の活動を紹介する展覧会「走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代」が、東京・虎ノ門の菊池寛実記念 智美術館で開催される。 走泥社は1948年、八木一夫、叶哲夫、山田光、松井美介、鈴木治の5人によって結成され、会員の入れ替わりを経ながら50年間にわたり日本の陶芸界を牽引してきた。長年の活動を通じ、陶によるオブジェを世間に認知させたこと、そして陶芸固有の表現世界を切り開いたとして評価されている。 走泥社解散後初の本格的な回顧展となる本展は、昨年京都国立近代美術館で開催され好評を博したもの。結成から25年となった1973年までの期間を主な対象に、走泥社の活動を紹介する初の試みとなっている。 会期:前期 2024年4月20日~6月23日 / 後期 7月5日~9月1日(展示替えのため5月27日~30日、6月24日~7月4日、7月29日~8月1日は休館) 会場:菊池寛実記念 智美術館 住所:東京都港区虎ノ門4-1-35 電話番号:03-5733-5131 開館時間:11:00~18:00 休館日:月(4月29日、5月6日、7月15日、8月12日は開館)、4月30日、5月7日、5月27日~30日、6月24日~7月4日、7月16日、7月29日~8月1日、8月13日 料金:一般 1100円 / 大学生 800円 / 小中高生 500円