会社設立に必須の重要書類、「定款（ていかん）」に記載すべき事項とは？【司法書士が解説】
定款の役割とその重要性
定款の内容は、会社の設立時だけでなく、その後の運営にも大きな影響を与えます。具体的な役割を見てみましょう。 1.会社運営の指針 定款は、会社の基本的なルールを定めた文書です。事業目的や株主総会の運営方法などを明確にすることで、スムーズな運営が可能になります。 2.トラブル防止 株主や役員間で意見が対立した際、定款が「会社のルールブック」としての役割を果たします。定款に基づく判断が最終的な決定となるため、トラブルを未然に防ぐことができます。 3.法的効力と信頼性の向上 定款は公証役場で認証されることで、公的な効力を持つ文書となります。また、銀行口座の開設や取引先との契約などでも定款が必要となるため、信頼性を高める役割も果たします。
紙の定款と電子定款、どちらを選ぶべき?
定款には「紙定款」と「電子定款」の2つの形式があります。それぞれの特徴を理解し、自分に合った形式を選ぶことが重要です。 〈紙定款〉 ・紙媒体で作成し、公証役場で認証を受ける形式。 ・認証時に4万円分の収入印紙が必要。 ・自分で作成する場合、手軽に作成できますが、費用面で割高になることがあります。 〈電子定款〉 ・PDF形式で作成し、電子署名を付与した形式。 ・印紙税4万円が不要のため、コスト面で効率的。 ・作成には専用ソフトや電子署名が必要ですが、司法書士に依頼することで簡単に進められます。
定款作成の流れ
定款作成の具体的なステップは次のとおりです。 （1）会社の基本事項を決定 ・商号、本店所在地、事業目的、資本金などを決めます。これらの詳細は次回記事で解説します。 （2）定款を作成 ・必要事項を盛り込み、法的に有効な形式で作成します。 （3）定款の認証を受ける（株式会社の場合） ・公証役場で認証を受け、正式な効力を持つ文書とします。 （4）登記申請に使用 ・認証済みの定款は、会社設立登記の際に必須書類として提出されます。 定款は、会社設立における基礎中の基礎であり、設立後も会社運営の指針として重要な役割を果たすものです。次回記事では、定款作成の際に決めるべき具体的な項目について解説していきます。定款をしっかり作成することが、会社設立の第一歩ですので、ぜひ参考にしてください。 加陽 麻里布 司法書士法人永田町事務所 代表司法書士
加陽 麻里布
