夫に先立たれて、娘とも疎遠。“もしもの時”が不安です。娘には迷惑をかけたくないのですが「終活」を手伝ってくれるサービスはありますか?
高齢で一人暮らしの方にとっては、自分が万が一のときにはどうなるか、非常に不安になります。近くに頼りになる身内がいない、自分自身で病気を抱えている、まだ子どもが成人していない、といった事情がある方にとっては、自分の死後どうなってしまうのか、非常に不安になります。 こうした事態に対応するための、終活支援サービスを知っておくと役に立つかもしれません。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
高齢者に広がる「終活」への意識
自分の死後、なるべく関係者に負担をかけなくするため、財産情報データの集約、エンディングノートの作成といったことを準備する方が増えています。高齢で一人暮らしの方はもちろんですが、子どもなど相続人がいる方でも、こうした準備をすることで、残された遺族などが意向に沿った手続きを行うことができます。 しかし「終活」への意識はあったとしても、エンディングノートの書き方を詳しく知りたい、自分の遺産の相続について知識がないので対策が立てられない、無効にならない遺言状の書き方を教えてほしい、自分の葬儀や納骨がどうなるかが不安になる、といった相談を希望する方が多くなっています。いざ実行という段階で、二の足を踏んでしまう方もかなりいると思います。 このようなときに頼りになるのが、「終活支援サービス」を実施している各種の組織です。まずお住まいの自治体などが、相談窓口を設置しているかを確認します。終活支援サービスも多様化しており、行政ではカバーしきれないことも増えてきました。 そのため、民間企業が専門性を生かせる分野で、サービスを提供しているところも増えています。できれば元気なうちに、ニーズにあったサービスに目を向けておくと安心感が生まれます。
自治体による終活サービス
一人暮らしの方にとって、まずお住まいの自治体によるサポートがあるかを確認することが第一歩です。どこの自治体にもある「地域包括支援センター」は、高齢者の介護などに関する相談窓口としての機能はありますが、終活支援サービスまでカバーしているかというと、やや無理があるかもしれません。 ただ終活支援に関しての情報提供を受けることは可能です。終活の方法について悩んでいる方は、一度訪問して相談してみましょう。 すべての自治体が実施しているとはいえませんが、依頼者本人の安否確認、葬儀や納骨に関する生前契約、家財道具の処分対応、公的機関向けの各種提出書類作成の代行、といったサービスを実施している自治体はいくつかあります。それぞれの内容を確認し、ニーズにあったサービスを提供していれば利用しましょう。 ただしそれに応じて対価が発生します。実際の費用の実例(目安)としては、葬儀・納骨一式が、25~30万円程度です。家財の処分については、処分量により別途費用が発生します。自治体が行うサービスのため、比較的安い価格設定といえます。 一人暮らしの高齢者は確実に増加します。自治体としても、このニーズの高まりに対応することが必要になります。現在の単なる情報提供だけでは不十分で、個別具体的な終活サービスのメニューを提供することが求められると予想されます。