「自分でもびっくり」中上貴晶、ラストランへ、トップタイム発進【WGP最終戦】
WGP 第20戦(最終戦) ソリダリティGP ロードレース世界選手権 予選 16日 カタルーニャサーキット(スペイン) ペン&カメラ=遠藤智 今季限りで引退するモトGPクラスでLCRホンダの中上貴晶(32)が、初日のフリー走行1回目で「自分でもびっくり」のトップ発進。ようやく上向きになってきたマシンを駆り、自身のラストランに懸ける。予選では、ランキング2位からクラス3連覇を狙うドゥカティのフランチェスコ・バニャイア(27)=イタリア=が、今季6度目のポールポジション獲得。ランク首位でプラマックのホルヘ・マルティン(26)=スペイン=は4番手につけた。 フル参戦15年目、通算262戦目に臨んだ中上が、初日のフリー走行1回目をトップタイムで発進した。2022年アラゴンGPのウオームアップ以来となるセッション最速に、「自分でもびっくり。いつ以来だろう?」と満面の笑み。レギュラーライダーに終止符を打つ大会を好感触で滑り出した。
今季もホンダ勢は低迷が続き、中上もモチベーションを保つのが大変だった。こんな不本意な状況で、長らく守り続けたレギュラーシートを他の選手に譲るのはつらいばかりだろう。それでも、ここに来て状態は上向き。予選は20番手に沈んだが、ライバルメーカーのバイクと何とか戦える雰囲気にはなってきた。 最速発進にはうれしさ半分、「『それにしても、このタイミングかい!』って思った」と報道陣を笑わせた。ただ、バイクは確実に良化してきた。今大会から投入した新しいシャシーと、加速時に車体が沈み込んで確実に路面へ駆動力を伝えるデバイスが効いているという。完全燃焼への舞台は整いつつある。 来季からは開発を担うテストライダーに転身し、ホンダ陣営を背後から支える業務を担う。開発の一環としてグランプリに出場する可能性もあるが、ひとまず今大会がラストランになる。 日本人選手のグランプリ出場最多記録を更新してきた、長い現役生活の大団円。「まだ、いつもと同じ気持ちで走れている。でも、決勝レースが終わったら、違う感情が湧き上がってくるかも」。やっと調子が上向いてきたホンダRC213Vに思いを託し、自身の集大成に挑む。
中日スポーツ