「山の日」制定記念? 高尾山&六甲山、どちらも「奥」「裏」がおもしろい
モミジ平から少々急な階段状の道を下り、さらにひと登りすると、富士山や丹沢の峰々が望める「一丁平」、その先、薄の小径や樹林の間を登り下りすると、山頂の茶屋でおでんやなめこ汁が楽しめる「小仏城山」、左手に相模湖を見ながら樹林帯を下れば狸の置物がご愛敬の「小仏峠」、さらにひと汗かいて急坂を登り切ると、都心方面の眺望が素晴らしい「景信山」に着きます。天気のよい週末にオープンする茶屋は、山菜のてんぷらが名物です。 さらに「関東ふれあいの道」と銘打たれた尾根筋――ところどころ地味なピークを巡る急登と平らな巻き道に別れます――を辿り、前方に視界が開ける「明王峠」で一服。ここから小刻みにアップダウンを繰り返すこと小1時間で、陣馬山に着きます。360度明るく開けた山頂からは富士山も望め、ひと汗かいた体にかき氷がキンと沁みます。下りは陣馬高原下(至高尾駅)か陣馬登山口(至藤野駅)各バス停方面への道が複数。栃谷尾根を辿るコースは、日帰り温泉に立ち寄ることもできます。 高尾山頂から陣馬山頂まで約10キロ。高尾山―城山―景信山―明王峠―陣馬山それぞれの間は1時間~1.5時間が目安で、休憩を除いて5時間ほど。高尾山の上りと陣馬山の下りに各1.5時間として、一気に踏破するなら相応の時間と体力と準備が必要です。でも、このコースは城山、小仏峠、景信山、明王峠と各ポイントからJR高尾駅に至るバス停や相模湖、藤野各駅への下山路が整っているのが特徴。往路もJR高尾駅から京王バスに乗って日影バス停下車なら日影沢林道経由で城山へ、終点の小仏からも小仏峠や景信山に登れるので、時間や脚力に応じた計画を立てられます。ビール好きなら陣馬山方面から逆ルートを辿り、下山前に高尾山展望台の「日本最標高のビアガーデン」に立ち寄るのもよいでしょう。 高尾山がミシュランに評価された大きな理由は、電車で都心から1時間圏とは思えないほどの豊かな生態系。イギリス全土の植物種に匹敵する1300種以上の植物が自生し、「貴重植物」とされる草木類も100種を数えるそうです。昆虫は5000種以上、野鳥も日本に生息・飛来する鳥の3分の1にあたる約150種が確認されています。そんな「自然の宝庫」である高尾山らしさは、「奥」だからこそより強く実感できそうです。