FRBのタカ派傾斜に賭ける債券トレーダー、ショート極度に積み増し
(ブルームバーグ): 米金融当局がタカ派に傾くとの観測が優勢な連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定を控え、最近の米国債相場下落で痛手を受けた債券トレーダーはますます弱気になっている。
4月の米国債は過去7カ月で最悪のパフォーマンスを記録した。景気の底堅さと根強いインフレを裏付ける統計が増えたことで、投資家は利下げ観測を後退させ、ショートポジションを積み増した。年初時点で2024年に複数回の利下げを想定していたトレーダーは、0.25ポイントの利下げが1回だけと今は見込む。金融当局が全く動かないのではないかと疑うトレーダーもいる。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長ら米金融当局者は最近数週間、データが引き続き強い場合には、政策金利をより高い水準により長く維持する意向を示唆してきた。FOMCの政策決定が公表される1日もパウエル議長から同じような発言があると投資家は予想する。米国債利回りは全体的に急上昇し、昨年11月以降で最も高くなったが、投資家はさらなる相場下落に備えて守勢の構えだ。
パウエルFRB議長、「より高くより長く」路線維持へ-今週のマクロ
クオンツファンドであるアルファシンプレックス・グループのチーフ・リサーチストラテジスト兼ポートフォリオマネジャー、キャスリン・カミンスキー氏は「特に今月は債券のショートエクスポージャーが実にうまくいっている」と認識を示した。同社は2月に新たな弱気ポジションを設定した。
4月23日までの1週間の先物市場データでは、ヘッジファンドがショートポジションを積み増す様子が示された。バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストによると、商品投資顧問業者コモディティー・トレーディング・アドバイザー(CTA)もこの流れに加わった。一方、JPモルガン・チェースの最新顧客調査では、現物市場のショートポジションが3週間ぶり高水準に達した。
年限が短めの債券対象の先物取引では、米2年債利回りが5%を突破する中で、建玉(未決済約定)が増加。強気ポジションの利益確定ではなく新規の弱気ポジションが主に相場を押し下げる状況がうかがえる。