第二次トランプ政権でも中国と“貿易戦争”か 「1錠で命を奪う」アメリカでまん延する“違法薬物”
■「フェンタニルは米国の問題」中国 メキシコも反発
トランプ次期大統領はこうしたことを念頭に、中国からの輸入品に対し追加で10%の関税をかけると表明。経由地のメキシコにも25%の関税を課す大統領令に、2025年1月20日の就任初日に署名する考えを明らかにした。トランプ氏は大統領令について「麻薬、特にフェンタニル、全ての不法滞在者がこの国への侵略を止めるまで有効」と述べた。 一方の中国外務省は「フェンタニルはアメリカの問題だ」と指摘したうえで、「アメリカがフェンタニル問題に対処するための支援を提供してきた。アメリカは中国の善意を大切にし、苦労して勝ち取った2国間の麻薬撲滅協力の良好な状況を維持するべきだ」と反論した。 メキシコのシェインバウム大統領は24年12月4日、過去最多となる1100キロのフェンタニルを押収したと発表し、取り締まりの姿勢をアピールした。同時に、アメリカが関税を課した場合、報復措置も辞さない考えを示している。 サンフランシスコのホームレスは「仕事を失い、住まいを追われ、いつの間にか毎日ドラッグに手を出すようになっていた。きょうも使ったよ」と悲しそうに話していた。その表情からは、トランプ次期政権にはフェンタニルのまん延を食い止めることに加え、薬物に依存しない社会・経済を作ることが求められていると強く実感した。