勝ち目はあるの? 日本製鉄VS「米大統領」
日本製鉄はアメリカのバイデン大統領らを提訴。徹底抗戦の構えです。果たして、勝ち目はあるのでしょうか。 【画像】日本経済界の反応は?
■日本製鉄が“徹底抗戦”
日本製鉄は徹底抗戦の構えです。 日本製鉄 橋本英二会長 「本件について禁止命令が出されたが、本件は当社の経営戦略上の最重要マターであることだけでなくて、日本およびアメリカ両国にとって極めて有益であるといまでも確信しております」 バイデン大統領が出したUSスチール買収禁止命令。その根拠としたのは安全保障上のリスクでした。 米ホワイトハウス ジャンピエール報道官 「この買収はアメリカ最大の鉄鋼メーカーの一つを外国の支配下に置き、安全保障と重要な供給網にリスクをもたらします」 これに対し、日本製鉄の橋本英二会長は…。 橋本会長 「当社の技術・商品を投入することによって、現在アメリカで十分に作れていない鋼材も作れることになるので、アメリカの国家安全保障の強化に資するというように考えております。米国の事業遂行を決して諦めることはありません。諦める理由も必要ないというのは私の考え方でありますし、日本製鉄、USスチールの一致した考え方であります」 さらにバイデン大統領の決定は、政治的思惑によるものだと断じました。 橋本会長 「大統領上級スタッフの1人がワシントン・ポスト紙の取材に対して、『大統領の決定は国家安全保障ではなく、政治のレガシーによるもの』と認めている。国家安全保障という観点から審査されたものではない」 そして6日、日本製鉄は“命令は不当介入”だとしてバイデン大統領らを提訴したと発表しました。日本の大企業がアメリカの大統領を訴えるのは異例。日本製鉄と買収で合意しているUSスチールも原告に加わっています。 橋本会長 「そもそもね、問題なく承認されてしかるべきものが1年以上、このようになったわけで。本当に安全保障上の問題があるのであれば、とっくの昔にバイデンはこれを承認しないと判断できたはず」 日本製鉄はUSスチールのライバルである鉄鋼大手「クリーブランド・クリフス」と全米鉄鋼労働組合の会長に対しても別の訴訟を起こしています。 橋本会長 「当社の米国参入を何としても阻止したい、USスチールの競合メーカーである『クリーブランド・クリフス社』及び、そのゴンカルベスCEOが、誠に不可解なことではありますが、全米鉄鋼労働組合のマッコール会長と連携し、組合の有する強大な政治力を利用して、バイデン大統領に働きかけたというものです」 安全保障への影響についてはバイデン大統領の決定に先立ち、アメリカ政府の対米外国投資委員会が審査をしていましたが、まとまった結論は出せていませんでした。