コイン精米機って本当にもうかるの? 「200万円の利益」の真相探る
コイン精米機がもうかる――。交流サイト(SNS)上のそんな投稿が話題になった。「そんなに需要があるとは」「そこまでもうかるはずがない」と賛否両論の声が出ていて、本紙「農家の特報班」にも「本当か調べてほしい」とのメッセージが埼玉県在住の20代男性から届いた。投稿内容の信ぴょう性を探った。 SNS上の投稿には「年間200万円の利益」「1日10分の掃除」「A車(ミニバンの人気車)を買うのをやめて買った」といった文章が並ぶ。ユーザーの関心を呼び3400万回閲覧された。 一連の投稿内容が本当かどうかを確かめるため、記者はメーカーや設置者などに取材を依頼。匿名を条件に、コイン精米機の事情に詳しいある関係者に話を聞くことができた。 まずは「年間200万円の利益」は可能かを尋ねた。取材に応じた関係者は「不可能ではないが、そこまで利益を出すのは難しい」との見解を示した。 関係者によると、立地条件に恵まれれば200万~300万円を売り上げる例がある。一方、主な経費は精米機の減価償却費や電気代、設置場所の借地料や機械の補修費など合わせて年間100万円前後。売り上げから経費を差し引いた利益が200万円に届くのはなかなか難しい。 ただ、減価償却が終わっていれば経費が減り「利益200万円はあり得なくはない」と関係者は補足する。 メンテナンスが「1日10分の掃除」はどうか。日常の清掃は異物除去装置のごみ取りや米ぬかの抜き取り程度で「その程度の時間で済む」(同)。しかし、機械の内部清掃や消耗品の交換など、ある程度の時間がかかる作業が「数週間に1回は必要」という。 「A車(ミニバンの人気車)をやめて買った」という設置費用についても聞いた。本体価格や設置にかかる基礎工事や電気工事などを含めると「A車の価格ぐらいというのは、相場から大きく外れていないのではないか」と説明する。 投稿の信ぴょう性について、取材に応じた関係者に改めて意見を求めた。「設置場所や条件が分からないので推測になる」とした上で、「設置費用やメンテナンス時間は事実が含まれるが、利益200万円という水準には疑問が残る」とのことだった。 注目が集まったコイン精米機の投稿者にも話を聞こうと、SNSを通じて連絡を取ったが、1週間待っても返答はなかった。 (金子祥也)
日本農業新聞