【空き家問題】放火、倒壊、空き巣…近隣住民は“恐々”も、所有者本人は「特に困っていない」衝撃のギャップ
「放置しても困らない」は、元を辿れば“どうしても手放せない”
では、放置できないとなると、他にどういった方法があるのか? 多くの方は、「自分で住む」か「売却する」の2択を思い浮かべるのではないでしょうか。 「まわりに迷惑掛けているなら、売ってしまえばいい」とお思いの方も多いでしょう。しかし、そう簡単に手放せないのが「家」です。筆者は、アンケートの中の「困っていない」と答えた方の多くには、実は手放したくないという想いがあったり、手放せない何かしらの理由をしっかりと抱えていたりするのではないかと想像します。 実際、当社にご相談いただく方のほぼ全員が「手放したくない」あるいは「手放せない」何かしらの理由をお持ちです。ですから、アンケートに回答したほとんどの方にも、実は当てはまるのでは?と感じます。 「両親から、自分が生きているうちは手放すなと言われている。」 「思い入れがあって、とても手放す気にはなれない。」 「兄弟、親族と意見が合わず手放せない。」 「子どものために残しておきたい。」 みなさんが口にされるのは、ほとんどがこういった理由です。 「空き家問題」というように、空き家自体が悪者になってしまっていますが、こういったナイーブな感情が裏にはあり、「売ってしまえ」と簡単にはいかないのだ、と深く思います。 皆さんは、卒業アルバムや幼少期の写真、子供の成長の記録などを捨てた経験はあるでしょうか? これらは、多くの方が大事に取っておいているものではないでしょうか。 家も同じです。結婚した日、子供が生まれた日。お父さんやお母さんの笑顔や、怒られたこと、窓から見た夕日や、庭で遊んだキャッチボール等々。様々な記憶がまるでアルバムのように心に深く刻み込まれていて、家はそのアイコンとして残しておきたい、と思われるのです。 そんな思い出いっぱいの大切な家が、「空き家」となり、迷惑がられる存在になってしまう。これほど残念で悲しいことはないと思います。