最近の自動車ディーラーは、顧客の利益を考えて販売しているのか? YouTube「マツダディーゼル動画」騒動から考える
忙しい現代人と少ないクルマの知識
ディーラーの顧客は、営業マンが「その道のプロ」であり、クルマのことなら何でも知っていると思っている。そのため、彼らに聞けば的確なアドバイスが得られると感じている。実際のところはどうなのか。今回は、一部で物議を醸しているマツダのディーゼルエンジン搭載車を取り上げて、この疑問を投げかけてみたい。 【画像】『月曜から夜ふかし』でおなじみ! これが40年前の足立区「竹ノ塚」です(計17枚) ディーラーに限らず、多くの顧客は一般的に商品の知識が少ないが、熱心な顧客は購入前に商品を徹底的に調べ、購入後も取扱説明書を熟読して使い方を学ぶ。しかし、これは少数派である。 なぜなら、彼らは仕事や家庭など、さまざまなことで忙しく、調べたり学んだりする時間的余裕がないからだ。そのため、彼らは「その道のプロ」にアドバイスやレクチャーを求める。
顧客の燃費重視傾向
筆者(宇野源一、元自動車ディーラー)がディーラーに勤務していた10年ほど前でも、新車を購入する顧客は機能よりも 「燃費」 を重視する傾向があった。 当時はガソリン価格も今ほど高くなかったが、ガソリン価格が徐々に上昇している現在では、その傾向はさらに強まっている。 燃費のよいクルマといえばハイブリッド車(HV)を思い浮かべる人が多いが、燃料費の安いディーゼルエンジン車を購入する人も一定数いる。 ガソリン車は燃費が悪いが、燃費のよいHVは高価で選択肢が少ない。その点、マツダのディーゼル車を含む車種ラインアップは、顧客のニーズに合っているのかもしれない。 マツダはここ数年、国産メーカーで唯一、ディーゼルエンジン搭載乗用車をラインアップしてきた。日産もクリーンディーゼルエンジン搭載車を販売していたが、後継モデルはイメージを大きく変え、HV専用車となった。
ディーゼル車の環境変革
ここで簡単にディーゼルエンジンについて触れておこう。 ディーゼルエンジンは軽油を燃料とし、ガソリン車よりも燃費がよいというイメージが定着している。しかし、かつては“有害な黒煙を吐き出すエンジン”としてクルマに搭載されていた。 1999(平成11)年、当時都知事だった石原慎太郎氏が記者会見でディーゼル車の排ガスが入ったペットボトルを掲げ、 「こんなものをみんな吸っているんだよ」 と発言したのをきっかけに、東京都で「ディーゼル車NO作戦」キャンペーンが始まり、環境が変わった。 詳細は省くが、これにより有害物質の排出が少ない「クリーンディーゼル車」が市場に現れた。約25年前の話なので、若い世代にとっては 「ディーゼル車 = うるさいエンジンで有害物質を排出する」 というイメージは少ないだろう。