“時間をさかのぼって撮れる”脅威のカメラ ソニー最新フラッグシップ『α1 Ⅱ』ハンズオンレビュー
11月19日、ソニーはフルサイズミラーレス一眼カメラ「α(アルファ)」シリーズのフラッグシップモデル『α1 II(読み:アルファワンマークツー)』を発表した。発売日は12月13日、オープン価格で市場推定価格は99万円前後の予定。翌日行われたメディア向け説明会では『α1 II』、そして同時に発表された新製品『FE 28-70mm F2 GM』を試用することができた。ここでは、『α1 II』のファーストインプレッションをレポートする。 【作例】一瞬の正拳突きもこの通り ヒットの瞬間から手を引くところまでを完璧に撮ることができる 『α1 II』は2021年に発売された『α1』の後継機であり、3年ぶりのアップデートとなる。有効5,010万画素のメモリー内蔵積層型CMOSセンサー、ブラックアウトフリーでの最高約30コマ/秒連写といった性能を引き継ぎつつ、「AIプロセッシングユニット」を搭載することで被写体認識とAF精度が向上した。 AIプロセッシングユニットによる被写体認識は既知の技術だが、本機『α1 II』では新たに被写体認識を自動化する「オート」の設定が可能になった。認識対象の設定画面で「オート」を選択しておけば、人物・動物・昆虫など、シーンに合わせた被写体認識を自動で行なってくれる。 操作系には『α9 III』『α7R V』などに搭載されている4軸マルチアングル液晶を備えるほか、カメラ前面(グリップとレンズマウントの間)にもカスタムボタン(C5)が追加された。 「プリ撮影」の機能も搭載されている。これはαシリーズでは今年頭に発売された『α9 III』に初めて搭載された機能であり、静止画の撮影時に最大1秒前までさかのぼっての撮影が可能となる。 同時に発表された『FE 28-70mm F2 GM』はGレンズ初となるF2通しのズームレンズで、開放からのシャープな描写に加え、大口径ながら918gと小型・軽量なのが魅力だ。独立した絞りリングやズームリングの“重さ”を切り替えられるスイッチを備えるなど、写真だけでなく動画撮影のシーンでも便利に使えるレンズだ。 体験コーナーではいくつかのシチュエーションで実機を試用した。ポートレート撮影のコーナーでは『FE 28-70mm F2 GM』と『α1 II』の組み合わせで試写をおこなった。EVFをのぞきながらシャッターを切ると、被写体認識が強力に動作しているのを体感できた。 空手の演武を撮影するコーナーでは「プリ撮影」を体験。突き・板割りなどの演武を間近に見ながらシャッターを切っていくものだ。プリ撮影の機能は連射モード時にシャッターボタンを「半押し」していると有効化され、「全押し」した瞬間から1秒前まで遡って静止画を保存してくれるので、決定的瞬間を逃さない。 板割りの演武の際には板が割れたのをEVFで確認してからシャッターを「全押し」してみたが、カメラには構え~突きで板が割れるまでの一連の流れが静止画で完璧に保存されていた。 最後に体験したバスケットボールの試合風景撮影では連写性能やオートフォーカスの“食いつき”を体験。試用したレンズは9月に販売開始された『FE 85mm F1.4 GM II』。 ここではクロップ撮影機能が活躍した。ワンボタンで127.5mm/F2.1相当にクロップできるため、試合展開のなかで寄り・引き2つの構図を切り替えながら撮影できた(下図は左が85mm、右がクロップ)。あとからトリミングするにも5010万画素超えの高画素は心強い。 『α1 II』にはアイピースカップが通常・深型の2種が付属するほか、バッテリー2つを同時に急速充電できるUSB PD対応バッテリーチャージャー『BC-ZD1』が同梱される。深型のアイピースカップは12月20日発売予定の新製品だ。 (文・取材=白石倖介)
白石倖介