FIA、高賃金のスイスに拠点を置くザウバー/アウディの予算増額を表明。一方でより公正なコスト制限を目指し調査を実施
F1に財務レギュレーションが導入された最初の年である2021年に、レッドブルが予算超過の違反をしたが、その後参戦する10チームは、会計部門の事務的なミスによる軽微な違反はあったものの、概ね同レギュレーションが課す予算制限内にとどまることができている。 しかし、2026年に新しいテクニカルレギュレーションが施行されることから、FIAはF1での競争にかかるコストの増加に対処する時期が来たと判断し、コース上でのパフォーマンスに影響を与えない、チームの経費として認められている非常に多くの例外を制限する機会をとらえている。その結果、チームは支出を年間最大1億3500万ドル(約213億円。カレンダーが21グランプリを超える場合は、追加レースに対して180万ドル[約2億8400万円]を加算)に制限されていたが、来年からは支出上限が2億1500万ドル(約340億円)に引き上げられる。また、間違いなくそうなるだろうが、シーズン中に21を超えるグランプリが開催される場合は、同じ条件が適用される。 だが、かなり多くのチームを動揺させる動きとして、FIAはザウバー/アウディに特別手当を与えることを決定した。チームの主要ファクトリーがスイスにあるという事実を補うためだ。スイスの生活費は、他の9チームが拠点を置くイギリスやイタリアよりもはるかに高い。アウディは、技術者たちを引き付けるために、これら2カ国に拠点を置くチームよりもはるかに高い給与を支払う必要があることから、FIAは、フェラーリやハースなどのチームから不満の声が上がっているにもかかわらず、すでに同チームの予算手当を増額すると表明している。 FIAのテクニカルディレクターを務めるニコラス・トンバジスは、次のように説明した。 「人件費の高い国に焦点を当てることは正しいことだと考えている。今のところ、それはスイスだろう。民主主義において、9匹の狼と1匹の羊がいるとしたら、9匹の狼が誰なのかはわかると思う」 「我々は合意と民主主義を望んでいるが、公平であるよう努めることも我々の責任だ。そして、おそらくF1の競技のなかで、5、6年に1度ある公平性を目指した調整を行う機会において、我々を支持するのに必要なレベルの多数派をチーム間で作るのは難しいことだ。我々は公平でいる責任があると考えており、常にそうするよう努めている」 しかしながら、EU欧州連合を離脱して以来イギリスにおける生活費が劇的に上昇したため、他の9チームからの圧力が高まっている。そうしたなかFIAの財務部門は、F1チームが活動する3カ国に拠点を置くチームに対してより公平で公正な予算制限システムを導入できるようにするため、現在2021年以降の給与平均の増加について詳細かつ徹底的な調査を行っている。 [オートスポーツweb 2025年01月09日]