アートだけだと遠すぎる...パターンやフォントまで落とし込み、障害のある人の文字や絵をパブリックデータとしてデザインするシブヤフォントの魅力
障害のある人の新たな収入となる可能性は? 事業性について
ライラさん「シブヤフォントのお客さんは、(業種として)アパレルがすごく多いです。 具体的には再生生地が使われている子供服ブランドにシブヤフォントが採用されました。 シブヤフォントは現在11の施設と一緒に活動しています。 障害福祉作業所は全国に5000ほどあると言われているので、アートで注目されているところはまだ一握りというのが現状です。 就労継続支援B型事業所の非雇用形態では平均収入が月に2000~5000円、生活介護だと1000円弱になっているのが現状だと思います。 シブヤフォントでは、2023年度の売り上げが4000万円ほどになりました。そのうちの500万円を11の施設に還元することができました。 本当にまだまだこれからなんですけど、徐々に徐々に売り上げをあげていっています。 また、シブヤフォントのオフィスで利用者様向けに掃除などの内容で短期雇用の創出のお手伝いをしています。 いろんな形でみなさんが働く機会とともに、賃金を受け取る 機会を作っています」
どうしてシブヤフォント? はじめたきっかけ
ライラさん「2016年に『渋谷ならではのお土産』を作りたいという動きが渋谷区でありました。 その時に現・シブヤフォント代表の磯村が学生さん達と一緒にアイデアを考えていたんです。 1人の学生から『みんなが書く文字がおもしろいから、文字をフォント化していろいろなお土産に使うことができたらおもしろいんじゃないか』という案が出ました。 その提案が実際に渋谷区で採択されたのが最初のきっかけです。 その後、文字を書くことはできないけど、絵を描くことならできるという方も居るとわかってきたので、フォントだけでなくイラストを使ったパターンも展開するようになりました。 障害のある方のアートを活用した活動は、20~30年ほど前からある動きだったのですが、あくまでアートとしての展開で間口が広くはない状態だったと思います。 人は感覚でものを買うこともあれば、ストーリーを大切にして買う場合もあると考えています。 なのでシブヤフォントではどちらでも購入出来るように、かっこよくてストーリー性のあるものを作れるようにしています」