料理好きの夢の空間!キッチンが主役の小さな別荘。軽井沢の絶景を眺めながら調理に集中できる、建築家の秀逸なプランをご紹介
空間を優しく覆う六角形の屋根。二重三重と折り重なる屋根の下には、アイランドキッチンが中央に設けられています。 大屋根に包まれた約40㎡のLDKは、まさに「キッチンが主役」の空間です。 【写真で見る】コンパクトでも使いやすいキッチンの工夫も解説!
“住み手らしさ”を表現したプラン
軽井沢で多数の実績をもつ別荘建築のエキスパート、早草睦惠さん。 このセカンドハウスのプランにおいては、“食”がキーワードであり、キッチンのつくり方が設計の要になったと振り返ります。 「建て主のNさん夫妻からは、大きな要望や条件はありませんでした。しかし、ヒアリングを進めるなかで、奥さまは大のお料理好きで、旦那さまもお手伝いされたり、食をとても大切にされていることがわかったんです」 多数の有名料理家の教室に通うなど、セミプロ級の腕をもつ奥さま。 「週末住宅だからといって、家でつくる料理は簡単にという考え方ではなく、手の込んだ品を時間をかけて調理される――。そう考えたとき、キッチンはある程度、一人こもって静かに過ごせるような空間でもあるべきだと思ったんです」
キッチンを「コックピット」のような特別なステージに
そうして発想されたのが、3重になった入れ子の屋根です。 単にオープンなワンルームの中央にアイランドを置くのではなく、キッチンに向かって小さな屋根を重ねていくことで、視覚的・体感的な包容力と落ち着きを生み出しました。 このデザインは同時に、空間の求心力を高め、キッチンをコックピットのような特別なステージにしています。 また、秀逸なのがレンジフードの収め方。インテリアにおいて、どうしても異物感が出てしまうのがレンジフード。それを屋根に見立てた三角のボリュームのなかに組み込むことで、すっきりと美しい意匠に昇華させました。
四角形ではなく六角形の建物が開放感を生み出す
屋根の六角形は、そもそも建物の形から来ています。 ここにも、別荘エキスパートの早草さんならではの知恵と工夫が詰まっています。 敷地は北東2面が道路に接する角地。まずは道路や近隣からの視線をかわしつつ、森に抜ける南西に向かって開く建物を考案。 そのうえで、建物を四角ではなく、六角形に設計しました。 「箱形のかちっとした閉塞感が払拭され、さらに大開口を扇状に連続させることもできるので、圧倒的な広がりを感じられるようになるんです」と早草さんは説明します。 1階は寝室と浴室、テラスがあり、メインスペースは道路から距離を取りたいため2階に計画しました。