運航会社社長の責任追及へ。知床沈没、2年半経て起訴 初の臨時情報、理解深める。震度6弱の宮崎県、官民で
新しい年が始まった。2024年に大きくメディアに取り上げられたものや地域での関心が特に高かったもののいくつかは、今年も話題が続きそうだ。昨年起きたさまざまなニュースの「その後」を追った。今回振り返るのは、(1)10月に運航会社社長が起訴された知床観光船沈没事故と、(2)8月に起きた日向灘地震と南海トラフ臨時情報。(共同通信=(1)阿部倫人、吉野桃子、野島奈古、松本はな(2)佐野七海) 【写真】ライトで照らし、引き上げると… 「2人は口から泡を吹いていて、呼びかけに反応なく」 「こんな事故は初めて」 2人が死亡、3人行方不明
▽知床観光船沈没事故とは 2022年4月23日、北海道・知床沖で26人が乗った観光船が沈没した。釧路地検は2024年10月、悪天候が予想される中、出航中止などを指示する義務を怠ったとして、業務上過失致死罪で運航会社社長(61)を起訴した。 ▽26人死亡認定し、起訴 約2年半の捜査を経て経営者の刑事責任が問われる事態となり、初公判は2025年以降開かれる見通しだ。乗客家族は2024年7月、社長と会社に計約15億円の損害賠償を求めて提訴しており、被告側は争う構え。 観光船「KAZU 1(カズワン)」は2022年4月23日、観光名所「カシュニの滝」の沖合で沈没した。第1管区海上保安本部(小樽)は2024年年9月18日、同容疑などで社長を逮捕。釧路地検が10月9日に起訴した。 地検は26人全員が死亡したと認定。起訴状によると、悪天候が予想され、安全統括管理者、運航管理者として出航や航行継続の中止を指示する義務があったのに怠り、沈没を招いたとしている。 ▽遺族が被害者参加制度に
釧路地裁は10月、公判前整理手続きの実施を決定。関係者によると、月に1回程度打ち合わせをする予定で「手続き終了まで半年はかかるのではないか」とにらむ。 捜査関係者によると、社長は逮捕後の調べに容疑を否認する供述をしていた。弁護人は取材に「検察の証拠の検討を始めた段階」とし、認否を明らかにしなかった。 地検は起訴後、家族らを対象に説明会を開き、公判の見通しなどを伝えた。被害者参加制度の紹介もあったといい、複数の家族が取材に対し、参加の意向を示している。 7歳だった息子と元妻が行方不明のままという北海道帯広市の男性(52)は「犠牲になった子どもや、残された家族がどんな思いでいるか分かっているのか」と問いただしたいと話した。 乗客14人の家族らは2024年7月、社長と会社に損害賠償を求め札幌地裁に提訴した。会社側は請求棄却を求める答弁書を11月29日付で提出。答弁書で、社長に過失はないとし、会社は相当額の賠償責任を負うことを認めた上で、額の算定について争うとしている。