運航会社社長の責任追及へ。知床沈没、2年半経て起訴 初の臨時情報、理解深める。震度6弱の宮崎県、官民で
× × × ▽8月の日向灘地震 2024年8月8日、南海トラフ巨大地震の想定震源域の南西端に当たる日向灘を震源とした、マグニチュード(M)7・1の地震が起きた。行楽シーズンと重なり、多くの宿泊キャンセルが発生。観光業を中心に、経済的にも大きな影響が出た。 地震では宮崎県日南市で震度6弱を観測。初めて「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表された。聞き慣れない情報に戸惑う住民も多く、発信や周知の在り方など課題が浮き彫りに。県では、自治体や自治会がそれぞれ防災セミナーや講話を通じ、臨時情報への理解を深めようと働きかけを続けている。 「臨時情報は『いつも』と『もしも』の両立が大事です。普段の生活を可能な限り維持しつつ、何もない時に比べて警戒レベルを上げます」。12月7日、県庁の会議室で京都大防災研究所宮崎観測所の山下裕亮(やました・ゆうすけ)助教(観測地震学)が語りかけ、民間資格の防災士の認証を受けた約80人が熱心に聞き入った。 ▽「巨大地震注意」、何をすればいい?
臨時情報は、静岡県の駿河湾から日向灘にかけての南海トラフ沿いで、大規模地震発生の可能性が平常時に比べて相対的に高まった場合などに、気象庁が発表する。「巨大地震注意」では、住民は備えの再確認や避難の準備をする。 セミナーは、防災士を通じて啓発を図ろうと、県が2024年度一般会計補正予算に費用を計上、企画した。山下助教は終了後、「地域の中で情報を正しく普及してもらうことが大切だ。簡単に理解できるものではないが、学びを深めるきっかけになれば」と話した。 ▽住民の理解進める取り組み 自治会でも啓発が進む。先立つ12月1日には、日南市の公民館で防災講話が開かれ、約40人が集まった。NPO法人宮崎県防災士ネットワーク日南支部長の柏田寿さん(78)は臨時情報の概要を説明し、「地震の時、家族が一緒にいるとは限らない」と指摘。住民に避難経路や備蓄品の確認の必要性を丁寧に訴えた。 参加した70代女性は「発表当時はよく分からなかったが、理解できた。普段からも備蓄しようと考えるきっかけになった」と振り返った。