映画『十一人の賊軍』のコラボビール十一本を飲む(其の三)
月岡ブルワリーは、ビールに惹(ひ)かれた新潟県新発田市内の3人によって2020年11月のコロナ禍の真っただ中にオープンしたマイクロブルワリー。酒店の日本酒ソムリエ、新発田観光の休憩どころの店長兼調理師、葬儀社の常務という、バックグラウンドは全く違いながらビールに懸ける情熱という絆で結ばれた3人がクラトビールに挑戦したという。3人のひとりであり、調理師兼月岡ブルワリーの観光事業課マネジャーの三宅晴香さんによると、地域の方々に喜んでいただけて、地域の方々が新発田以外の地域に向けて地元を誇れるような商品をつくりたい。そうした思いから立ち上げた醸造所だという。
定番ビールは4種類。
「月岡エメラルドエール」はマスカットを使用したフルーツビール。月岡温泉は「美肌の湯」と硫黄含有量日本トップクラスの「湯治」の地として有名で、お湯の色は硫黄の影響によってエメラルドグリーンなので、その色をイメージしたビールを造ったという。三宅さんいわく「まずは手に取ってみたくなるビール」であり、ビール初心者でも飲みやすいので断トツ人気を誇っているそうだ。
「月岡IPA」は、月岡の湧き出る温泉をイメージし、通常の2~3倍のホップを使用したIPA。
「湯上りペールエール」は、月岡ブルワリーが月岡温泉の「あしゆ湯足美」から徒歩10秒の場所にあることから、足湯の後や温泉の後にぜひ飲んでほしいと造ったという。 「ヴァイツェンナチュラル」は、ヴァイツェン酵母でつくったフルーティーなビール。「発酵の力でさらに美しくなっていただきたい!」という思いが詰まっているそうだ。
東映とのコラボの提案を受けたのは「新発田をここまで題材にした映画は後にも先にもこれだけだと思い、新発田をPRする絶好の機会だと感じたから」と三宅さん。コラボの話が来たときに、映画にちなんで、月岡ブルワリーから「11種類はどうでしょうか?」と提案したというが、実際に造ってみて「あまりの大変さに後悔しました」と三宅さん。「普段から毎月1回は限定ビールをリリースしているので、この時はまだ行けるかなって安易に考えていました。完成日までに11種類すべてをそろえるまで右往左往。瓶や樽(たる)などが毎日、醸造所内を埋め尽くしていました」と振り返る。