中国艦艇、台湾周辺で広範囲に活動 軍事演習への警戒高まる
台北/香港(CNN) 台湾国防部(国防省に相当)は9日、中国の海軍や海警局の艦艇が台湾海峡と西太平洋周辺の海域で複数の編隊を組んで活動していると発表した。台湾は中国による軍事演習の可能性に備えている。 台湾軍は、同海域で中国人民解放軍(PLA)の東部・北部・南部戦区および海警局の艦艇を確認したという。 台湾の頼清徳(ライチントー)総統は今月6日までの1週間の日程で南太平洋諸国を外遊し、ハワイと米領グアムに非公式に立ち寄ったことで中国政府の怒りを買っていた。 中国当局は頼氏を「分離主義者」と呼び、今回の訪問に断固とした反対を表明した。頼氏の訪問前には米国が台湾への新たな武器の販売を承認しており、中国は「強力な対抗措置」を明言していた。 台湾国防部も9日、「PLAの活動に対抗するため」戦闘準備訓練を開始し、PLAの動きを厳重に監視していると述べた。 台湾の高官はCNNに対し、中国の現在の海軍の展開は今年台湾周辺で行われた2度の軍事演習よりも規模が大きく、東シナ海から台湾海峡、南シナ海まで海軍艦艇が広範囲に展開していると指摘した。 艦艇は台湾を包囲するのではなく、九州・沖縄から、台湾、フィリピンに延びる「第1列島線」内での支配権を主張する狙いがあるようだという。 台湾国防部は同日、PLAが台湾の北と北西に位置する中国沿岸部の浙江省と福建省の東部に七つの制限空域を指定したとも述べた。 これらの空域は国際航空規則に従って、定められた期間中、特定の利用者に飛行が制限されるが、他の航空機も航空管制の許可を得て通過できる。 中国外務省は9日、台湾が挙げた船舶の活動や空域制限について問われると「台湾は中国の領土の不可欠な一部であり、台湾問題は中国の内政だ。中国は国家主権と領土を断固として守る」と述べた。 頼氏の米国訪問は5月の総統就任以降、初めて。台湾の主権を擁護したことで長い間中国政府の不興を買ってきた同氏は、今回の訪問で同じ考えを持つ民主主義国家との連帯をアピールした。 頼氏はグアム滞在中、「全体主義に屈してはいけない」と呼びかけた。また、米領グアムに立ち寄った際にはジョンソン米下院議長と電話会談も行った。 中国政府は先週、頼氏の外遊を激しく非難。「わが国の主権と領土保全を守るため、断固とした強力な措置を取る」と宣言した。