<いざ令和の春>センバツ鳥取城北 支える/4 監督 /鳥取
◇厳しい指導も“親心” 山木博之さん(44) 試合中はベンチの端で腕を組み、グラウンドをじっと見つめることが多い、鳥取城北の冷静な指揮官。センバツ出場の重要な参考資料になる2019年秋の中国地区大会準決勝で、優勝候補筆頭の創志学園(岡山)を破ったときは思わずガッツポーズが飛び出し、喜びを隠せなかった。 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 鳥取城北、大阪体育大(大阪府熊取町)と捕手一筋。大阪の少年野球の強豪「枚方(ひらかた)ボーイズ」や島根・江の川(現石見智翠館)高のコーチなどを経て09年春、母校の部長に就任した。監督は同年秋から務めている。 「選手を導くスタッフが自分の価値を感じながら指導に当たるチームは強い」が持論だ。指導は信頼できる4人のコーチ陣に原則任せている。江の川のコーチ時代、末光章朗監督(49)から同じように一任され、充実感を得た経験があったからだ。 就任から18年夏までに春夏計5回の甲子園出場を誇り、県内高校野球界をリードする名将だ。しかしずっと順風満帆だったわけではない。3連覇のかかった14年と16、17年は聖地から嫌われた。いい選手がそろっているのにあと一勝が遠かった。それでも数々の選手たちの悔し涙が、自身の原動力になった。 「今やるべきことをよく考えろ」。野球のこと以外でも強い口調で指示が飛ぶ。学業はもちろん、生活面もおろそかにならないよう厳しい姿勢を貫いている。日ごろ世話になっている周囲の人々が応援したくなるような選手に育ってほしいとの“親心”からだ。 就任から10年が過ぎた。「(前回出場から)8年間、ずっと目指している場所。全国の強豪の中、ここまでできると見せられたら」。伸び伸びプレーする選手らの姿を想像しつつ、熱のこもった指導を続ける。=この項おわり。小坂春乃が担当しました