[高校生のバイク問題] 静岡県飛龍高校にOBらがカブを寄贈【背景には整備士資格検定の改正】
5月9日、静岡県伊豆北部で活動する地域クラブ”原動機研究部”が沼津市内の私立飛龍高等学校自動車工業科にホンダ スーパーカブ50とトヨタ車体 コムスを寄贈。クラブに所属しているOBを通して贈られたバイクと四輪EV、その背景と贈呈式の模様について紹介する。 【画像】コスパで選ぶ 国内メーカー原付二種スクーター5選
三級自動車整備士資格が統合、”二輪”も含まれることに
原動機研究部はそもそも、「高校生年代からバイクやクルマなどのモビリティに親しんでほしい」という願いのもと活動している地域クラブ。 静岡県は条件付きでの原付免許取得を許可しているというが、飛龍高校では、16歳での原付免許取得を生徒が自由に行うことはできない。 ゆえに、自動車工業科の生徒と言えどもバイクという乗り物に触れる機会はほとんどなかったようだ。 ところが、2022年5月に自動車整備士技能検定規則の一部改正が公布され、2027年1月から整備士資格制度が新しくなることが決まる。 三級自動車整備士が”総合”としてまとめられ、そこに”二輪”も含まれることになったのだ。同校でもこの4月からすでに新しい内容での授業が行われており、教材となる二輪車が必要だった。 そこで今回、同校OBでもある原動機研究部員、田中海豊さんを通してスーパーカブ50が寄贈されることになった。 贈呈式に参列したのは地域クラブである原動機研究部と豊田通商株式会社等の関連企業、寄贈先となる自動車工業科3年生と大石康史先生、生野正弘先生、さらには飛龍高校OB岩田徹也県議会議員(地元は函南町)も来賓として参加した。 ◆飛龍高校は沼津市街にある私立高校で、取材時には自動車工業科は静岡県内唯一の自動車に関する専門学科とのこと。2 年次の終了までに、国家三級整備士の資格を取得する。 ◆自動車工業棟内には整備教材としてのクルマや整備台、工具や部品が整然と並んでいた。取材当日も学生らにより自動車部品の分解整備が行われていた。
整備士を目指す生徒らへの”エール”
また、原動機研究部が協働している豊田通商株式会社からは次代の電動モビリティの実習基礎教材として、超小型BEV コムスが寄贈された。 式典には函南町で自動車板金業を営む同校OBの静岡県議会議員、岩田徹也さんも参加し、整備士を目指す生徒らにエールを送った。なお、原動機研究部のこうした活動により同地域では原付同好会が立ち上がった高校もあるそうだ。 三級自動車整備士の学習内容に二輪車が含まれたことは整備士不足が深刻な二輪業界にとっても朗報だ。高校生へのバイクの理解が深まることにも期待したい。 2027年1月から整備士資格制度が新しくなる。三級の場合はこれまで油種などで分かれていた各資格が”総合”としてまとめられ、”二輪”は”総合”に含まれることになり、これまで勉強していた自動車整備の内容に二輪整備も加えられることになった。そのため実習に使う二輪車教材が必要となり、スーパーカブ50が今回寄贈されたのだ。 ◆自動車工業科OBの田中海豊さんは就学時の経験をふまえて「三級自動車整備士試験にスーパーカブを役立ててほしい」と挨拶した。 ◆飛龍高校OBの岩田徹也県議会議員は30年前に卒業。参加生徒に向けて、自分たちが貴重な人材であること、まわりへの感謝を忘れてはいけないこと等を伝え、整備士の夢をかなえることへエールを送った。
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ヤングマシン編集部