周庭氏「指名手配」から見える習近平氏の「焦り」
ジャーナリストの佐々木俊尚が2月7日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。香港警察が指名手配した周庭氏について解説した。 【写真】香港の警察署に出頭し取り調べを受けた際の、周庭氏
香港警察、民主活動家の周庭氏を指名手配
香港警察は2月6日、カナダに滞在している民主活動家の周庭氏について、指名手配したと明らかにした。周庭氏は4年前、外国の勢力と結託して国家の安全に危害を加えたなどとして、香港国家安全維持法に違反した疑いで逮捕された。その後保釈されたが、2023年12月にSNSへの投稿でカナダ・トロントに滞在していると明らかにした上で、香港には戻らないと表明していた。 新行)周さんは警察に出頭を義務付けられていましたが、予定されていた2023年12月28日に出頭しなかったことから、香港警察は追及に全力を挙げる方針を示し、会見で指名手配したことを明らかにしました。
ハードパワーはあってもソフトパワーに欠ける中国
佐々木)こういうことをすると、中国の対外イメージが悪くなるだけだと思いますが、習近平体制は内向きの政権なので、国外でどう見られるかをあまり気にしなくなっているのかも知れません。20世紀のアメリカの国際政治学者であるジョセフ・ナイ氏は、「ハードパワーとソフトパワー」という有名な言葉を唱えています。 新行)ハードパワーとソフトパワー。 佐々木)軍事力や経済力がハードパワーです。それに対して、文化の力のようなものがソフトパワー。アメリカは1980年代くらいから「国力が衰えた」と言われ出したけれど、ジョセフ・ナイ氏は「そうではない」と。確かに軍事力ではソ連に負ける部分があるかも知れませんが、ハリウッド映画やロックミュージックなど、文化面では圧倒的に世界の信頼を得ており、民主主義国家で自由の砦のようなイメージがある。「そういうアメリカに対する信頼感があるから、我々の国は大国の状態を維持できているのだ」と80年代に言っています。「なるほど、そうだな」と周囲は納得したわけです。 新行)文化の力がある。 佐々木)いまの中国は軍事力が増強されていて、経済力もいずれアメリカのGDPを抜くのではないかと言われ、意気揚々としています。でも、一方では独裁国家の側面がある。