〝民主の女神〟周庭さん、香港には「恐らく一生戻らない」…決断に至る心境は 精神の病に苦しみ、オンラインインタビューで日本旅行の希望も
2021年6月の出所から今年9月の留学開始までの間は再び拘束されるのではないかとの不安にさいなまれていた。「(政治と無関係な)友人とご飯を食べたりすることはできたが、一緒に運動した人とは連絡を取らなかった。私も友達もいつでも逮捕される可能性があるので、連絡していることが知られたら、互いに悪い影響が出るかもしれないという心配があった」。仕事には行っていたが、それ以外はほぼ家にいたという。 民主派による表だった活動がほぼ封じられている香港の情勢については「一国二制度や三権分立、法の支配はなくなった。選挙制度も変わって完全に中国にコントロールされ、親中派じゃないと立候補できなくなった。香港政府は今でも常に法治社会だとか、一国二制度があると言っているが、民主的な選挙はなくなり、言論の自由、法の支配もなくなった」と鋭い舌鋒は鈍っていない。 ▽将来の展望は 逮捕以降の3年間で自分にとって最も大きかったのは、精神的な病のことだったという。支えの一つとしてよく聴いたのが韓国の歌「私の思春期へ」。 「心に刺さった。政治的、社会的な歌でないが、うつの発作の時によく聴いた。悲しい曲だけど、希望もある」
将来については「まだ全く考えていない。自由に生きるだけで十分、という気持ち。この3年間で恐怖から自由になることがどんなに大事なものか分かった」と話す。ただ「カナダにも中国の秘密警察がいたり、そういう脅威がある」と警戒感を拭えないことをうかがわせた。 「今も香港でたくさんの人が自由を求めるために、民主主義を求めるために苦しんでいる。収監されて弾圧されて、何も言えなくなって、そういう社会になった。日本も含めた国際社会からの関心が大事だ」とし、香港の情勢に関心を持ってほしいと訴えた。 インタビューの最後に「(最近)フィルム写真にはまっている」と明かしてくれた。「日本にも行きたい。景色の良い場所に行って、フィルム写真を撮りたい。東京ディズニーランドに行きたい」。20代の女性らしい普通の希望を語る笑顔に救われた気がした。