イーロン・マスクら経営者の”熱狂”は世界を滅ぼすかもしれない…テスラやアップルと「ブラック企業」の共通点
実はブラック企業のTOPはビジョナリー(※)
一般的には飲食や介護といった労働集約型の産業は、ブラックな労働環境を生み出しやすいといわれています。それは売上の延伸に対して、労働力の依存度が高いからです。 労働生産性と売上の相関性が高い構造は、過酷な労働環境を生み出しやすくなります。安い労働力を仕入れることが事業の超重要なKPI(※)になるからです。1万円で5時間働かせるより、10時間働かせた方が数字上、効率は良くなってしまいます。 これがおそらくブラック企業の成り立ちとして最も有名な仮説。この説ももちろん正しい。ただ人材会社で様々な企業を見てきた私には、ブラック企業を創出する要素がもう一つあると感じていました。 きっかけは世間的にはブラックといわれる企業の経営者の方へのインタビューです。彼らにはある共通点がありました。 ちなみに彼らはブラックという言葉から想像するような利己的な人種では全くありません。むしろ彼らは他己的で、人類愛に溢れ、明確なビジョンを持ち、会えば誰もが好きになるような魅力的な人間でした。 全員が目を爛爛と輝かせ理想の世界を語り、その世界を実現するために全てを賭けると話していました。しかしその姿が時に狂人のように映る瞬間がある。そう、彼らには夢のために文字通り“全てを賭ける”ことができる資質がありました。 ※ビジョナリー 周囲の人たちを巻き込めるほどの強烈な夢がある人。みたいな意味合いで記載しました。例えば、産屋敷はビジョナリーだと思います。彼は「鬼がいない世の中」という夢を見て、共感する人間を束ねて鬼滅隊を組閣しました。一方炭治郎はめちゃくちゃいいやつですけど、ビジョナリーではない気がします。彼はもちろん鬼のいない世界を目指しましたが、旅の途中まで、彼の最優先課題はあくまで「妹を人間にすること」という個人的な欲求だったはずですから。 ※KPI Key Performance Indicator(重要業績評価指標)。組織の一番大きな目標達成(KGI)に紐づく指標のこと。ここでは“達成基準”みたいな感じで読んでいただいて構いません。最初からそう書けよって感じですいません。『鬼滅の刃』でいえば、鬼滅隊の一番大きな目標(KGI)が無惨を倒すことであるならば、十二鬼月を倒すのがKPIです。