イーロン・マスクら経営者の”熱狂”は世界を滅ぼすかもしれない…テスラやアップルと「ブラック企業」の共通点
スタートアップ界隈に蔓延する“熱狂”というキーワード
当時ブラックだと叩かれていた、とある飲食会社の社長はTV番組でこんな言葉を残しました。「無理というのはね、嘘吐きの言葉なんです。途中でやめてしまうから無理になるんですよ」 この言葉を受けネットは炎上。しかし本人は世間からの反応に驚いたに違いありません。意味合いとしては「諦めたらそこで試合終了ですよ」と大差はありませんし、彼にとっては当然の人生哲学だったと思うからです。 最近スタートアップ界隈でよく聞くキーワードに“熱狂”という言葉があります。優秀な経営者であればあるほど、遠大な夢を見ます。『世界中の情報を完全に民主化するならば』『本気で人類を火星に連れていくならば』…常人では達成し得ない目標を掲げるのであれば、狂うことも時に必要なのです。 そして経営者は同じように従業員にも“狂う”ことを要求します。トップと従業員が同じ夢や価値観を共有できるよう、ミッション・ビジョン・バリューといったフォーマットを用いて、効率的に“熱狂”を作り上げる。 業績が好調な企業のキックオフなどを外部の人間が見て「宗教のようだった」と答える人が多いのはこういった背景があるように思います。熱狂は、他人には狂気に映るからです。
イノベーション企業と地獄の軍団
イーロン・マスクが「激務が嫌なら退職しろ」と勧告をしたり(というか実際に彼はTwitter者の社員6000人をクビにしました)。スティーブ・ジョブズが「お前の仕事はクソだ」と言ってその場で従業員を解雇していたというのは有名な話ではないでしょうか。 他にもスティーブ・ジョブスは、神殿や教会からインスピレーションを受けアップルストアを建造し、最終的には社員全員に着用を義務付けるユニフォームまで作ろうとしていたといいます。イーロン・マスクは、彼の思想を布教するためにTwitterを買収したし、その影響力を用いて大統領選までをも動かそうとしていました。もはや現実は漫画や小説より奇なりですよね。 彼らは正義の味方のそれ、というよりはむしろショッカーや帝国軍のような悪の軍団の所業とよく似ていると思いませんか(サイバートラックはパッと見、悪の軍団が乗り込む装甲車ですし、TwitterをXに改名するのは流石にthe黒幕感がありすぎて最高です)。 ですが、当然彼らに悪意はありません。イーロンは幼少期の頃にコミックを読んで「人類を底上げして世界を救うこと」を決めたといいます。彼は今もただただ少年のように純粋に、彼の夢を達成するために最善の選択を続けているだけです。そして彼らの狂気すら感じるような、この“熱狂”が世界を前に進めてきたのもまた事実だと思います。