冷やしキュウリはO157、お好み焼きはセレウス菌!夏祭りに潜む“食中毒の罠”を専門家が解説
たこ焼き、焼きそば、かき氷にチョコバナナ。昔から変わらない屋台の味に子供たちも心躍らせる季節だが、親として注意したいのが食中毒。夏は危険が最も高まる季節でもある。
大人より感染しやすく、重症化しやすい子供を守るべく、夏祭りで気をつけるべきポイントを名古屋文理大学短期大学部の佐藤生一名誉教授に聞いた。
冷やしキュウリが危険な理由
――冷やしキュウリが食中毒のトピックに上がるニュースをよく目にしますが、やはり注意が必要ですか? 必要です。ただ、冷やしキュウリに限らず「浅漬け」や「一夜漬け」に要注意です。本来の漬物は、塩分濃度が高く乳酸発酵するため、菌がいても死滅します。でも、浅漬けや一夜漬けの場合は塩分濃度が低く、菌が残りやすいんです。 ――具体的に、何の菌が食中毒を引き起こすのでしょう? 腸管出血性大腸菌O157です。 2014年に静岡の花火大会で500人が冷やしキュウリで集団食中毒を起こし、2年前の2012年には札幌の食品会社が製造した白菜の浅漬けで、8人が亡くなっています。 わずかな菌の量でも感染してしまうのがO157の怖いところ。札幌の事故がきっかけで今年6月、食品衛生法が改正されて浅漬けの販売が営業許可制になりました。
菌を増やさない「温度管理」が大切
――私たちはどう注意すればいいんですか? まず、菌を付けないのが大前提。とはいえ「100%無菌」は不可能でしょう。どこにでも菌が付いているという前提で行動した方がいいと思います。そこで大事なのが「増やさない」こと。つまり、温度管理の徹底です。 ――何℃にキープすれば、菌は増えないんですか? 20~40℃までが、細菌が一番増殖しやすい温度です。最近は、朝でも夜でも30℃を超える日が続きますよね。細菌にとって増殖するのにちょうどいい温度なので、一日を通して注意が必要です。 食中毒を防ぐには、保存温度は低温(10℃以下)あるいは高温(75℃以上)が原則です。 ――やはり消費者として1番気をつけるべきは子供ですよね? 食中毒の特徴は、100人が同じものを食べたからといって100人が発症するわけじゃないんです。感染しても、発症しない場合がある。どれだけ菌を摂取したかと、抵抗力の問題です。 なので、抵抗力の弱い子どもや高齢者は注意が必要ですし、夏バテなどで抵抗力が落ちている大人も同じです。