社会人VS学生からXリーグ王座決定戦に変わったアメフットの新生ライスボウルは成功だったのか?
アメリカンフットボールの「日本一」を決めるライスボウルが3日、東京ドームで行われ、富士通フロンティアーズがパナソニックインパルスを24-18で破って2年ぶり6度目の日本一に輝いた。ライスボウルは1984年から昨年まで、社会人代表と学生代表が対戦してきたが、12年連続で学生が敗れるなど、実力差が歴然としてきたため、今季から社会人のXリーグ王座決定戦がライスボウルに変更された。なお大会MVPにはワンタッチダウンにパスレシーブ124ヤードを記録した富士通のWR松井理己が選ばれた。
粘り強く守りきった富士通ディフェンス
残り30秒。スコアは、24―18だが、富士通はパナソニックにゴールラインまで25ヤードと攻め込まれた。ワンタッチダウンで追いつかれる。ファーストダウンまで残り1ヤードの4thダウンでパナソニックは、もちろんギャンブルを選択した。青い目をしたQBのローレンスからWRブレナン翼へのショートパス。富士通のプレッシャーが気になったのか、大事にいきすぎたのか。パスは、数センチうしろへずれた。ブレナンの手からボールがこぼれると同時にDB樋田が猛タックルで潰した。 この瞬間、富士通の2年ぶりのV奪回が決定した。 「ハラハラドキドキしたが、粘り強く最後止めきってくれた」 山本洋HCも興奮していた。 どちらに勝利の女神が微笑んでもおかしくないシーソーゲーム。 富士通は守り切った。 21-18で迎えた第4Q残り8分09秒にも、パナソニックのエースRBミッチェルにゴールライン寸前まで迫るランプレーを仕掛けられたが、鬼のディフェンスでストップ、ぶっ倒してファンブルを誘い、バウンドしたボールをDB藤田が抱え込んでエンドゾーンの中で抑え、地獄から天国への起死回生のターンオーバー。第2QにもインターセプトしていたDB藤田は「趙がパシュートをかけてくれたおかげ。最後までボールを見ていた結果」と、胸を張った。パナソニックのスペシャルプレーに揺さぶられながらも、QBサックでプレッシャーをかけ、結果的に勝敗を分けることになったディフェンスを引っ張った主将のLB趙は「ゲインされても切り替えて次を止める。スコアボードを見ずに1プレー、1プレー集中した結果」と振り返った。 入部6年目のシーズンとなる29歳、慶応大出身のQB高木が縦横無尽に暴れた。 第2Qに「絶対にとってやる」というWR松井へ56ヤードのロングパスを通すと、最後は自らがパスを狙ったが「パスコースに誰もあいていなかったので単純に走った」との判断でエンドゾーンに走り込んだ。第3Qに逆転を許すが、第4Qに、また高木が自らボールを持ってタッチダウンラン。「ニクソン対策で、(相手のディフェンスが)外に開いて見えたので」。エースRBニクソンのプレーを囮に使ったスピードオプションである。