社会人VS学生からXリーグ王座決定戦に変わったアメフットの新生ライスボウルは成功だったのか?
優勝した富士通の山本HCは「学生とのライスボウルだったんですが、Xリーグの社会人の1位を争うゲームに変わりまして、また違った緊張感があって、選手、スタッフも今まで以上にいい準備をやってこれた」との意見。 敗れたパナソニックの荒木HCも「学生さんとのライスにも意義があると思うが、いちプレー、いちプレーのせめぎ合いは社会人同士でないと、ここまでハイレベルな試合にはならない。形は変わったが、Xリーグで切磋琢磨して、もっとレベルの高いフットボールをお見せできるようにスタンダードを上げていきたい」と歓迎の姿勢。 選手の立場としては、パナソニックの小西主将は「形は変わりましたが日本一という目標を立てて、相手が学生であれ、社会人であれ、やるべきこと最後までやり続けるだけ。(形式が変わったことに)特にこれといった感情はない」という感想を口にした。 ライスボウルが、名実共に日本一決定戦であるのならば、この形しかないのかもしれないし、運営サイドも「数年は、この形を続けたい」という。 だが、本来ならば、ジャパンXボウルとされていた社会人の王座決定戦が、そのまま横すべりでライスボウルになるのはどうなのか、学生に、まったくライスボウル出場への道筋がないことに寂しさもある。ラグビーの日本選手権は、社会人vs学生の方式を変えてからもトーナメント制にして、しばらくは学生チームも参戦できる方式が採用されていた。 ライスボウルは、アメフット界全体を底上げするための象徴するイベントではあり、そのあたりを懸念して、前座カードとして、女子タッチフットボールの全日本王座決定戦「さくらボウル」と、関東中学生アメフットのオールスター戦が開催された。 この日、NHKで解説したアサヒビール・シルバースターHCの有馬隼人氏は、「日本一決定戦にふさわしい素晴らしいレベルの試合を見せてくれた。ライスボウルが形式を変えた狙い通りのゲームになった」とした上で、こんな提案をした。 「いきなりとは言いませんが、スポーツ界全体の流れからすると、やはり学生の日本一を決める試合が正月に置かれたほうがいいのかもしれません。箱根駅伝しかり、大学ラグビーしかり…。学生には、12月に伝統の甲子園ボウルがあるが、アメリカでは、カレッジフットボウルにシュガーボウル、オレンジボウル、ローズボウルなどのビッグゲームが複数存在している。甲子園ボウルの優勝チームと、それに対抗する学生のボウルをもうひとつ作り、それぞれの優勝チームが1月3日に東京ドームでぶつかるとか、ライスボウルで、学生と、社会人の2試合を行っても面白いかもしれません」 筆者は、「ライスボウルを見直せ派」だったが、いざ、1月3日のフットボール界の“お祭り“に学生チームが不在となると、一抹の寂しさは感じた、前出の関学の鳥内氏は、「アメリカのNCAAディビジョン3あたりの優勝チームを呼んできて日本の学生王者がどれくらい通じるかの試合をやったほうがええんとちゃう?」と提言していたこともある。新生ライスボウルが、今後、どれだけの認知度と支持を得るかによるだろうが、日本のアメフット界が、学生、社会人の2本立てで、成り立ってる以上、今後、なんらかの工夫が必要になるのかもしれない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)