社会人VS学生からXリーグ王座決定戦に変わったアメフットの新生ライスボウルは成功だったのか?
MVPを獲得した松井とのホットラインで、実に124ヤード。第2Qには、パナソニックのディフェンスカバーの隙をついてTDパスも通している。 「高木さんとDBが前に出ているなという話をしてアジャストした」 スカウティングによる判断ではなく、ゲームの中での高木と松井の感性。 一方のパナソニックの荒木HCは「思い切ってロングパスを入れて決めきるところが富士通の強さ」と脱帽した。 富士通は、外国人QBを採用していて、高木は、2年前にMVPは獲得しているが、元々は、控えQBだった。だが、山本HCが「パッシング能力が高い。ハイテンポな攻撃を展開するには適任」とエースQBに指名した。キャメロン、バードソンという歴代の外国人QBのプレーを見て学び力をつけた。 「パスなのか、ランなのか。最善の判断をすることを見て学んできた。控えの時間を無駄にしなくてよかった」 特に大事にしているQB心得が、リードパスで空いているレシーバーを瞬時に探す判断力だという。 レギュラーシーズンではパナソニックに20-26で惜敗していた。チームの戦力でいえば、帰化した選手なども含めて外国人を9人も抱えるパナソニックの方が上。総獲得ヤード数もパナソニックの463ヤードに対して富士通は352ヤードと劣っていた。だが、勝負強さと粘り強いディフェンス力の差でライスボウルの大舞台でリベンジを果たした。 1984年の第37回大会から昨年の74回大会まで38年間の歴史を刻んできた社会人ナンバーワンと、学生ナンバーワンが激突するライスボウルが、今大会から社会人ナンバーワンを決める大会形式に切り替わった。2009年に立命大がパナソニックに勝って以来、学生が12連敗。社会人チームは、どんどん外国人が入ってレベルアップ。クラブチームとして完成度が高まり、4年でチームを作りあげる学生側が、戦術、戦略だけで対抗するには限界があり、2年前に勇退した関学大の元名将、鳥内秀晃氏なども「もうこの形式はやめた方がいい。力の差がありすぎて危ない」と長らく訴えてきた。日本アメリカンフットボール協会は、2020年の夏に「ライスボウル検討ワーキンググループ」を立ち上げた上で、今回の形式を決断。 新方式のライスボウルは、日本一を争うにふさわしいレベルの熱戦が繰り広げられ、東京ドームには1万4610人のファンが詰めかけた。 ライスボウルは、この形がベストなのか。