広島・秋山翔吾の初打点&マルチ安打デビューをどう評価すべきか…「打率3割。Aクラス入り使者となれる」と元WBCコーチ
広島、中日の両チームでのコーチ経験があり、2013年のWBCでは、侍JAPANのコーチとして合宿に参加していた秋山の「走攻守」を間近で見てきた評論家の高代延博氏も、こう評価した。 「さすがとしか言いようがない。どんな揺さぶりにも上半身が出されることなく安定し、ボールを呼び込む間に瞬時に自分のタイミングに合わせてボールをコンタクトできる粘り強さが彼の打撃の特徴だが、その良さが出ていた。3打席目のライト前ヒットは、おそらくストレートを待っている中で甘いカーブが来たので反応で打ったのだろう。過去にはメジャーでパワーアップしすぎて日本に戻ってきた際の対応に苦労した打者もいたが、秋山には、その不安はなさそう。西武の最後の3年間では続けて3割を打っていた。セ・パの格差はだいぶなくなってきたが、変化球とコントロールが主流のセの野球にはピタリとはまるのではないか。広島でも間違いなく3割は打つように思えた」 秋山はレフトで先発出場し、途中でセンターに回ったが、高代氏は、その守備の動きに注目。「元々、走力、肩がずば抜けている選手。34歳という年齢もあり、そこがどうなっているかが気になっていたが、しっかりと走れていたし動けていた。広島で力を発揮できると思った点はそこにある」とした上で、広島に与える秋山効果について、こう期待した。 「広島は、チーム打率、得点圏打率は高いのに得点が少ない。本塁打が少ないということもあるが、丸が抜け、今年は鈴木誠也が抜け、その欠けたピースを埋めることができていなかった。西川が離脱してからは外野を固定できない状況だった。秋山は、丸に比べて長打力は落ちるが、ヒットを打つ技術、出塁率は上。しかも守備力は丸、鈴木よりも上。秋山がようやく欠けていたピースを埋めることで生まれる相乗効果は大きい。西川が戻ってくれば、1番でチャンスメーカーとして使えるし、残り1枠の外野争いがヒートアップすることでチームの底上げになる」 広島のチーム打率.254はヤクルトに次いでリーグ2位、得点圏打率.283はリーグトップだ。だが、本塁打数41が5位ということもあって、チーム得点の301はヤクルト、巨人に続く3位。特に西川が離脱してからは、3番打者が不在で、打率.249の菊池が打たねばならない状況にあった。打線が機能するためには、もう1枚足りなかったが、秋山の加入で、そこが埋まった。西川が復帰してくれば「1番・秋山」の選択肢が生まれるし、外野のもう1枠を巡って、上本、野間、中村、堂林、宇草、羽月らが争うことになり、チーム戦力に厚みが増す。