なぜ立浪竜は横浜DeNAに1勝8敗と勝てないのか…明暗を分けた1回の前進守備
中日が6日、横浜スタジアムで行われた横浜DeNA戦に1-3で敗れて3連敗、借金が「13」に膨らんだ。今季の横浜DeNAとの対戦成績は1勝8敗。両チームの相性とチーム事情を如実に表すシーンが1回の攻防にあった。
恐怖の2番打者の大田泰示が先制タイムリー
目に見えないベンチの攻防が初回にあった。 1回。先頭の桑原が中日先発の小笠原からヘッスラを敢行する内野安打で出塁すると、続く大田の打席で、三浦監督が先に仕掛けた。 カウント2-2から桑原を走らせたのだ。おそらくランエンドヒットだったのだろう。中日バッテリーは、ひとつ前に牽制を入れていた。十分に警戒はしていたのだが、内角高めにボールが外れ、オールスターにファン投票で選出された木下の二塁送球が大きく上へそれた。桑原は三塁へ進塁。無死三塁となったところで、今度は立浪監督が動く。なんと初回から前進守備を指示したのだ。 スポーツ各紙の報道によると、立浪監督は、カウントを追い込んでいたため、小笠原がコントロールミスさえしなければ、大田が当てるだけのバッティングに終わるという可能性を見込んで勝負の前進守備を敷いたという。 3月29日のバンテリンドームで行われた中日戦で大田は6番で先発出場して小笠原と3打席対戦しているが、ストレートに押し込まれて二ゴロ、ナックルカーブで三振、またストレートで左飛という内容だった。しかも大田はファーストストライクの打率は高いが、追い込まれると打率が下がる。打者心理にプレッシャーをかけて打ち損じを誘いたかったのだろう。 実際、大田は「前に来てくれた、というより、前に来ちゃったな、と。間も抜けづらくなるし、来たら来たでプレッシャーがかかった」と振り返っている。 ただ、通常はひとつ間違えば大量失点につながる可能性のある前進守備を初回からは取らない。1985年に阪神を日本一に導いた吉田義男氏が「守備で攻める」野球を浸透させた例もあるが、立浪監督は3日の阪神戦で今季15度目の完封負けを喫し、チーム得点がリーグワーストの221の“貧打線“を考慮。1点を先に与えることは致命傷になると考えたのかもしれない。 フルカウントから大田はチェンジアップを2球続けてファウルで粘った。 「なんとか食らいついた」 8球目は外角高めの147キロのストレート。見送ればボールだったのかもしれないが、大田は、その高めに浮いたボールをしっかりと叩いた。打球はライナーでセカンドの左へ。阿部が伸ばしたグラブの先を抜けていった。もし前進守備を敷かずに定位置に下がっていれば、ひとつのアウトは取れていたのかもしれない。 「粘っていく中で自分が打てるところをしっかり打とうと。高めは強いので低めはケアしながらね。追い込まれた時点でコンパクトにいった。きちっと打てた。センター方向に飛んでいったし、真っ直ぐにも打ち負けなかった」 これで大田は4試合連続打点。今や超攻撃型の恐怖の2番打者と言っていい。