東大生が出題!「思考力」をぐんと高めるクイズ 入試問題は「ただ暗記したら解ける」内容から変化
今回は、その授業で出題している問題をご紹介しながら、思考力の身に付け方についてお話ししたいと思います。 ■中国が大豆の輸入量世界一なのはなぜ? まずは、こちらの問題をご覧ください。 「2022年のデータを見ると、大豆の輸入量世界一は中国になっており、これは輸入量全体の59.4%となっている。なぜ中国が輸入量世界一なのか、答えなさい」 なんと世界で貿易されている大豆の約6割を、中国が消費しているのです。これはなぜか考えなさい、という問題ですね。
他のデータも見てみると、中国は世界で4番目に大豆の生産量が多い国でありながら、ブラジルやアルゼンチンから莫大な量の大豆を輸入しています。 「うーん、中国人が大豆を好んで食べるのかな。でも、中華料理に大豆を使った料理ってどんなのがあったかな」 と考えてしまうと、この問題は答えられません。思考力を問う問題が解けるようになるためには、そもそも、「事実」と「解釈」をしっかりと分けて考える必要があります。
例えばみなさんは、ここまで読んで、この問題は「中国人はなぜ、大豆を世界一食べるのか」という問いだと勘違いしていませんか? 実はそれは間違いです。ここまで出てきた「大豆の輸入量世界一」「世界で4番目に大豆の生産量が多い」という情報は、あくまで「輸入量」「生産量」について触れているだけです。「食べている」とは一言も書いていません。思考力を使った問題では、こうした微妙なニュアンスの違いをしっかり意識する必要があります。
【2024年10月24日16時追記】初出時、一部表記に誤りがありましたので、上記のように修正しました。 この問題で問われているのは、「中国人はなぜ、大豆を多く消費するのか」ということです。では、「消費」とはなんでしょうか? この問題を解くためには、「消費」という言葉の定義がカギになります。 「消費」という言葉には、いろんな解釈が考えられます。もちろん人間が食べるのも「消費」ですが、何か工業に使うのも「消費」ですし、人間以外の動物が食べるのも「消費」です。「人間が食べる以外の方法で、消費しているとしたら、どんな方法だろうか」と考えていくと、答えが見えてきます。