屈辱的だった無精子症、「精子提供」を選んだ家族の子への告知の在り方は
現在、国内で議論されている第三者の精子や卵子を使った不妊治療に関する新法の最終案では、子が18歳になった後に要望すれば、身長・血液型・年齢などの提供者情報を開示することを柱としている。寺山さんは「今の状態では、告知する時に人となりを伝えることが難しい」と考えている。 一方で、最終案には出生した子が事実を知ることができるよう、夫婦が適切な配慮に努め、国は必要な体制の整備を図らなければならないと明記された。この点は「良い一歩」と歓迎する。「僕らの存在も社会に伝えていかなければいけないし、子ども達にも隠れた生き方はしてほしくない」と告知の必要性を訴える。2022年にはAID当事者支援会を立ち上げ、同じように悩む夫婦のカウンセリングや講演活動にも力を注いでいる。 子どもたちが成長しても「質問されたらどうしよう」とは思わない。家と外でダブルスタンダード(二重基準)を作らないよう、長女には「大切な話だから、誰かにお話しするときはパパとママと一緒に話そうね」と伝えている。「親が全部答えを持っている必要はない。ありのままを伝えて、一緒に考えていきたい」
* * AIDに関する情報を共同通信・生殖医療取材班、science@kyodonews.jpまでお寄せください。