健康食品で今飲んでいる薬が効きすぎたり効かなかったり、その飲み合わせが重大事故を招く
「お茶で血圧が下がるなら薬を飲む前に試してみようか」「健康食品でダイエットできるならそれがいちばん楽でしょう」「食生活が不規則だからビタミンやミネラルで補うしかない」などと、健康食品はすっかりわれわれの生活に浸透している。 【前編】牛乳で飲むと骨粗鬆症治療薬が効かない!? しかし実は、健康食品では機能性や安全性について何の保証もない健康食品が多く販売され、健康被害の大半はこれらの製品で発生している。ならばどんな健康食品を使えばいいか、使いたければ自身で見分ける目が必要である。そのため健康食品で被害に遭わないための基礎知識をさまざまな事例を通してわかりやすく解説した著書『健康食品で死んではいけない』より連載形式で紹介する。 前編<牛乳で飲むと骨粗鬆症治療薬が効かない!? 薬を服用してはいけない飲み物とは?>
薬の働きを変える2つの相互作用
ある医薬品が別の医薬品の作用を強めたり、弱めたりすることを医薬品の相互作用と言う。相互作用が発生すると医薬品が効かなかったり、強く効きすぎたり、ということが起こってしまう。患者さんにとって予期せぬ事態になり、ときには死亡事故も発生する。そこで、医薬品の相互作用は薬剤師さんが大変神経を使う事項となっている。 同じように、医薬品が健康食品の作用を強めたり、弱めたり、また逆に健康食品が医薬品の作用を強めたり、弱めたりすることが当然あるのでは、と推測できるが、そのとおりである。 ただし、健康食品と医薬品の相互作用を考えるときには、医薬品同士の場合と注意をすべきポイントが少し異なっている。医薬品が健康食品にどのように影響するかということより、健康食品が医薬品にどのような影響を与えるかに注意を払わなければならない。 医薬品は基本的に病気の治療を目的として投与されるものである。だが、健康食品はそうではない。作用も医薬品ほど強力ではないので、その作用に若干の強弱が生じても命にかかわるような事態にはならないと考えられている。ところが、健康食品では医薬品同士の相互作用に負けない怖い事態が起こりうる。