「俺達の福浦」の大合唱に押されてロッテ福浦が史上52人目2000本安打を達成
千葉ロッテの福浦和也(42)が22日、ZOZOマリンスタジアムで行われた西武戦でプロ通算2000本安打を達成した。史上52人目。ロッテでは、榎本喜八、有藤通世に次ぐ3人目の快挙で、プロ25年目、42歳9か月での達成は42歳11か月の和田一浩(中日)に次いで2番目の年長記録となった。 ZOZOマリンが壊れそうなくらいだった。 早々に満員札止めが張り出されたスタジアムに起きた満場の福浦コール。 「福浦! 福浦!」 8回、先頭打者。この日、ノーヒットで迎えた4打席目だった。 「延長にならないと、これが最後の打席。ここで決めたい。マリンのファンの前で。同級生で一緒に最年長野手としてがんばってきた松井稼頭央の目の前で達成したい」 明日からは、2試合、仙台、大阪へと遠征に出る。 千葉生まれの千葉育ち。地元習志野高出身の福浦にとって、ここは特別な場所である。しかも、相手ベンチには、同期入団のライバルであり酒を酌み交わす友でもある松井稼頭央がいる。 左腕・小川龍也のカウント2-2からの甘いスライダーを逃さなかった。糸を引くような綺麗な打球は、ライトの右を襲い、ワントバウンド、ツーバウンドでフェンスではねた。二塁に滑り込んだ福浦は、立ち上がると同時に珍しく感情をあらわにガッツポーズをした。そしてライトスタンドへ向かって両手をあげた。 「無意識に二塁まで走って無意識にガッツポーズして、わけがわからなかった。咄嗟に自分の気持ちが出た」 しばし、ゲームが中断。セレモニーの記念の花束は西武ベンチから歩み出た松井稼頭央から贈られた。 「おめでとう」 「ありがとう」 「また今度な」 短い会話で十分だった。 「最初は、花束を持っていけないと(松井が言っていると)聞いていた、来てもらったんで、逆に喜びが倍増でした」 続いてひとつ年上の井口資仁監督、同期入団で現在外野守備走塁コーチの大塚明からも花束を受け取った。 あと2本に迫っていた前日のゲームからは、ファームから根元俊一、金澤岳、岡田幸文、荻野貴司らの後輩が駆けつけてくれていた。「彼らの前でも打ちたかった」という。 福浦の代走に細谷圭が出され、その勝ち越しの走者が、西武の守備のミスも手伝って生還。連敗ストップの勝利で2000本を飾れるところだったが、9回二死一、二塁から山川穂高にまさかの逆転3ラン。晴れの場内インタビューは飛んでしまった。だが、試合後もライトスタンドから福浦コールはやまず、福浦は、わざわざ、そこに駆け寄って頭を下げた。 「いつも暖かく、どんなときでも応援してくれる。僕の中では力になっていると思う。あれだけのたくさんのファンの人たちの前で打てて嬉しかった」 1998年のプロ野球記録となる18連敗。負の歴史の“生き証人”である福浦だが、その時もファンの罵声でなく励ましの声だけが耳に残っている。だから本拠地での達成に万感の思いが込み上げてくる。 実は、首を痛め肉体は、もう限界だった。試合後、井口監督はすぐさま登録抹消を決めたほど。 「気持ち、気力だけだった。試合に出る限り痛いといっていられない。でも、連戦が続いて、正直、一気にどっと疲れも出たかな」