「俺達の福浦」の大合唱に押されてロッテ福浦が史上52人目2000本安打を達成
「毎試合が大事。プロ4年目に初めて1軍に上がってから1打席も無駄にしないでやってこれた結果だと思う」 1打席、1打席「常に100%」の積み重ねが、2234試合目にしての2000本安打の金字塔を生んだ。だが、2007年あたりから怪我に悩まされるようになり、2012年からは年間50本が打てなくなった。2016年は20本、2017年は30本。ここ2年は続けて開幕を2軍で迎えている。 「正直、2000本は厳しいなと思っていた。やれると思っていなかった。ここまで野球を続けさせてくれた球団に感謝したい」 2018年のシーズンを前にして残された38本も簡単な数字ではなかった。だが、昨年ファームで同じ時間を福浦と過ごすことが多かった井口監督は開幕戦でスタメン起用した。 福浦は、2000本を振り返り最も印象に残るヒットは?と聞かれ、この日の2000本目となるツーベースヒットをあげた。 「今日ですかね。ほっとしたというか、プロ2打席目で打った初ヒットもあるけれど、これだけみんなが喜んでくれた今日のヒットだと思う」 ここ数年の人知れぬ苦悩が、そう思わせたのかもしれない。 来年は43歳になる。2000本という大きなモチベーションを失った福浦の来季の進退は不透明だったが、会見で、26年目シーズンの現役続行をハッキリと宣言した。 「来年もやるつもりでいる。まだまだ。もっと若手も教えて、自分もしっかりとやって、もっともっとみんなをよくしたいという気持ちがある。今日は、みんなに喜んでもらった。今度は、リーグ優勝して、今いる選手と喜びを分かち合いたい。井口監督をなんとかマリンで胴上げしたい。僕自身、マリンでファンの前で胴上げをしたことがないから、マリンでしたいという思いがある」 2005年、2010年の優勝メンバーの福浦だが、まだ本拠地胴上げの経験はない。来季は、兼任打撃コーチとしての比重が大きくなるのかもしれないが、バットを置く日は、次なる夢を果たしたとき。 試合後、球場のロビー付近で、記念撮影に来た福浦をサプライズが待ち受けていた。 全選手、全スタッフが、2000本の記念Tシャツに着替え、福浦を祝福したのだ。 「何、このサプライズ? 聞いてないよーーー」 福浦は、とても嬉しそうだった。 愛される人。 ライトスタンドからはファンがこう歌う。 「俺たちの福浦」 この地で生まれ、ロッテ一筋25年の正真正銘のフランチャイズプレーヤーへの思いが込められた応援歌。なんて素敵な代名詞か。 「幸せだと思う」 福浦は、しみじみと答え、こうも続けた。 「長かったなあ。ほんと長かった」 会見の最後、番記者の一人がいかした質問をした。 福浦さんにとってヒットとは? 哲学的な問答に福浦は、苦笑いを浮かべて、こう返した。 「なんですかねえ、むずかしい質問ですね、それは引退までに考えておきます」 求道者の野球人生は続くのである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)